3個ボールを使った最も基本的なパターンは3ボールカスケードです。同様に4個ボールを使った最も基本的なパターンに4ボールファウンテンがあります。以下5ボールカスケード、6ボールファウンテンと続きます。これらを以後基本パターンと言う事にしましょう。全てのジャグリングパターンはこれらの基本パターンをベースにして作られています。少し遠回りのように思えるかもしれませんが、サイトスワップを理解するためにはこれらの基本パターンについてちゃんとした知識を持っておいて損はないでしょう。ただこれらの事が分からなければサイトスワップが分からないというわけではないので初心者の方は単なるお話だと思って読んでもらえれば結構です。
基本パターンの名称を見て、真っ先に気づく事があります。それは奇数個のボールのパターンをカスケードといい、偶数個のボールのパターンをファウンテンということです。(ちなみにカスケードは滝、ファウンテンは噴水という意味です。どちらも水に関係のある名称ですね。)ところでこの2つのパターンにははっきりと分かる特徴があります。カスケードはボールの軌道がクロスしており、ファウンテンはボールの軌道がクロスしていないことです。言い換えればカスケードは常に右手から左手、左手から右手と反対側の手にボールを投げますが、ファウンテンは右手から右手、左手から左手と同じ手にボールを投げています。用語として反対側の手にボールを投げる事をクロススロー、同じ手にボールを投げる事をセルフスローということがあります。大切な事なので改めて書いておきましょう。
まず数あるジャグリングパターンの中でどうしてこれらのパターンが“基本パターン”と呼ばれているのでしょうか。それにはちゃんとした理由がありそうです。“基本”と言うからにはその個数のボールを“最も自然にジャグリングできるパターン”であることは確かでしょう。では自然なパターンとはどのようなものでしょう。これらのパターンを観察して次のような特徴に気づきます。
前2つの条件をよく見るとこれはサイトスワップの大前提のところですでに出てきたものですよね。ですからこの2つの条件は他の多くのジャグリングパターンにも当てはまるものです。ということは基本パターンを特徴付けているのは3つ目の条件と言う事になります。
これは非常に重要な条件なので、しっかり頭に置いておきましょう。このことによって逆にボールの投げ方を基本パターンによって特徴付ける事が可能になります。
(※備考1.1)
もう1つあたりまえですが大切な事実があります。それは
ややこしい話は抜きにしてボールを投げる高さは次の表を大体の目安にしたらいいと思います。
| 3ボールカスケード | 1 |
| 4ボールファウンテン | 2 |
| 5ボールカスケード | 4〜5 |
| 6ボールファウンテン | 6〜7 |
4ボールファウンテンは3ボールカスケードの約2倍の高さ、5ボールカスケードは4ボールファウンテンのさらに2倍(3ボールカスケードの4倍)の高さで投げています。頭に入れておくと後々非常に便利です。
(※備考1.2)
さてここからは話がすこし面白くなります。今まで基本パターンと言うものを観察し、それら基本パターンが持っている特徴をいくつか見つけました。それを応用すれば8個でも9個でも基本パターンを(少なくとも)考える事はできます。では逆にボールの個数を減らしてみたらどうなるでしょう。2個や1個、あるいは0個のボールでの基本パターンなんてものを考える事はできるのでしょうか?0個のボールのジャグリングなんてそもそもおかしな話ですよね。こんな事を考えて何の役に立つのでしょう。このような考え方は数学者が得意とするものです。ある法則を見つけ出したらそれをもっと一般的なものに拡張する事ができないかと考えるのが数学者の悲しき性なのですね。しかしそこから面白い発見があるかもしれません。とりあえずやってみようではありませんか。
3ボールカスケードと同じリズムで2個のボールをジャグリングしてみましょう。前回書いた3つの条件を満たすようにボールを投げる方法を考えましょう。まず簡単思いつくのは両手に1個ずつボールを持ってそれを交互に真上に投げ上げるパターンです。確かに両手が交互に同じ高さにボールを投げていますからとりあえずはこれでよさそうです。しかし実際やってみるとずいぶん低くボールを投げなければうまくリズムに合いません。ちょっと窮屈ですね。ここで悪魔のささやきが聞こえます。“ところでそもそもボールを投げる必要なんてあるのでしょうか?” 2つのボールなら両手に持ったまま何もしなくてもいいではないですか。これはジャグラーとしては少し不謹慎な態度です。何もしないのにジャグリングと言うなんておこがましいというお叱りを受けそうですね。しかし本来基本パターンと言うのは“最も自然にできる”パターンであったはずです。それならそもそもジャグリングなんてしないのが“最も自然”ではないですか。
次は1個のボールの基本を考えてみましょう。今度は何もしないでボールを持っているだけというわけにはいきません。なぜならそれでは右、左が交互にボールを投げている事にはならないからです。1個のボールの基本パターンは
どうでしょうか。かなりばかばかしいジャグリングばかりですね。しかしこういうことを考えるのが数学と言う学問なのです。とにもかくにも0個から上の基本パターンと言うものが全て定義できたと言う事で納得してもらいましょう。(このままほって置くと負の数のボールのジャグリングなんてことを言い出すかも知れませんから…)
もちろんここに書いたことは全てサイトスワップという考え方を理解する上で役に立つことですからどうぞご安心ください。これくらいの予備知識をもっておくとサイトスワップというものが意外と簡単に頭に入ってくると思います。次の項ではいよいよ核心に迫りつつサイトスワップの数字がいったい何を意味しているのかを解説していきましょう。