ここでは本文の中では深く触れなかったサイトスワップに関するいくつかの事実について補足説明をしておきたいと思います。
何故奇数個の基本パターンはボールがクロスし、偶数個の基本パターンはボールがクロスしないのかは次のように合理的に説明する事ができます。
3個のボールと4個のボールで説明しましょう。(一般化は簡単です)
基本パターンの特徴は全てのボールを左右交互に同じリズムで投げる事でした。しかも全てのボールは同じ高さに上がるので投げるボールの順番が入れ替わる事はありません。
ここで3個のボールをA,B,Cということにすればボールは一定のリズムで
A B C A B C A B C A B C …
と投げられます。3個のボールの場合、あるボールが投げられてから3拍のちに同じボールが投げられる事になります。ここでボールは左右交互に投げられる事を思い出せばボールを投げる手とボールの関係は以下のようになります。
補足1.1 カスケードとファウンテン
| 投げる手 | 右 | 左 | 右 | 左 | 右 | 左 | 右 | 左 | 右 | … |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 投げるボール | A | B | C | A | B | C | A | B | C | … |
この図を見れば一方の手でボールを投げたとき、そのボールが次に投げられるのは必ず反対の手になります。(奇数は2で割ると余りが1になるからです。)そのためにはボールは反対の手に向かって投げなければなりません。
同様に4個のボールなら次のような表が書けます。
| 投げる手 | 右 | 左 | 右 | 左 | 右 | 左 | 右 | 左 | 右 | … |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 投げるボール | A | B | C | D | A | B | C | A | B | … |
| サイトスワップ | 保持時間 | 滞空時間 | 滞空時間の2乗 | 高さの比 |
|---|---|---|---|---|
| 3 | 1 | 2 | 4 | 1 |
| 4 | 1 | 3 | 9 | 2.25 |
| 5 | 1 | 4 | 16 | 4 |
| 6 | 1 | 5 | 25 | 6.25 |
| 7 | 1 | 6 | 36 | 9 |
しかし一般的にはもう少し話は複雑で、ボールの保持時間はこのような簡単な整数にはならず、たいてい1より大きくなるのが普通のようです。ボールの保持率は0.5より大きくなるのです。これは一方の手に注目したとき、手がボールを持っている時間の方が、手が空になっている時間より長くなることを意味しています。手の中にボールが長い間あった方がジャグリングは安定しますから当然ですね。もし保持率を0.7とすると次のような表が作れます。
| サイトスワップ | 保持時間 | 滞空時間 | 滞空時間の2乗 | 高さの比 |
|---|---|---|---|---|
| 3 | 1.4 | 1.6 | 2.56 | 1 |
| 4 | 1.4 | 2.6 | 6.76 | 2.64 |
| 5 | 1.4 | 3.6 | 12.96 | 5.06 |
| 6 | 1.4 | 4.6 | 21.16 | 8.27 |
| 7 | 1.4 | 5.6 | 31.36 | 12.25 |
このようにボールを投げる高さはジャグリングをするスタイルによって違うもので個人差があるものだといえるでしょう。
さて,お気づきかもしれませんが以上の議論であえて触れなかった問題があります。サイトスワップの投げ方でたった1つだけどうしても1ビート以上ボール保持できないものがあります。1という投げ方です。
この投げ方はサイトスワップの中では何かと厄介なもので、この投げ方が入ったパターンのリズムを多くの人がうまくつかめないでいるのも無理はないことなのです。3ボールカスケードのリズムは等間隔に聞こえるのに、3ボールシャワーのリズムは少し偏って聞こえることはよくあります。これは決して誤ったリズムでジャグリングしているのではありませんからご安心ください。3ボールシャワーでは投げる間隔は均等でも、ボールをキャッチする間隔は均等ではないのです。これは上に述べた問題が関係しています。
余談ですがジャグリングシミュレーションソフトJuggleMasterでは1の投げ方がボールを手で弾いているように見えてしまします。(松岡氏も言っているとおり、これがこのソフト唯一の欠点です。)これには上に述べたような微妙な事情が絡んでいるのかなと思っているのですが、どうなのでしょうか。