これまではソロジャグリングのパターンを表すコーザルダイアグラムを見てきました。しかしコーザルダイアグラムがもっともその威力を発揮するのは実はパッシングのパターンを表すときなのです。事実このダイアグラムを考案したMartinFrostも最初これをパッシングのノーテーションとして発表しました。
このノーテーションを使えば、シンコペーション(変則的な投げ方)が入るようなパッシングの複雑なパターンもわかりやすい形で表現することが可能になります。これからその優れたアイディアを解説していくことにしましょう。(以降、オリジナルに習ってクラブのパッシングを前提に解説しますが、もちろんボールでもリングでもノーテーション自体には何の変わりもありません。)
ソロジャグリングにおいては3クラブカスケードは次のように書き表していました。
しかしよく考えればこれはもっと単純に次のように書き表してもよいわけです。
RとLはそれぞれ右手と左手を表しています。結局3クラブカスケードは右手と左手に交互に問題を投げ合っているに過ぎません。
6クラブパッシングを表すには、2人の人間のカスケードのパターンを上下に並べます。6クラブパッシングでは2人のカスケードが完全に同期しますので(つまり右手と左手が同じリズムでクラブを投げるので)、RとLの記号は上下で一致するように並べます。
今2人が4投おきにパスを出すとすると(いわゆる4カウント)、次のようなダイアグラムが書けます。
4投おきに2人の間でクラブの交換(正確には”問題”の交換)が行われている様子がよく分かりますね。クラブの数は6本あるのに対して手の数は2人合わせて4本ですから線の数は6-4=2で2本ということになります。
もう少し早く、2カウントでパスをすると次のようになります。
さて次にシンコペーションを含んだパターンを表して見ましょう。シンコペーションとは通常のパッシングのリズムの中に挿入される変則的な投げかたのことでさまざまな種類があります。その詳細はクラブパッシング教本のほうに任せるとして、ここではアーリーダブルという投げ方を見ていくことにしましょう。
アーリーダブルとは4カウントの中から投げられる変則的な投げかたで、いつもより1ビート早く、いつもより高いパスを投げるというものです。このパスは相手に通常のパスと同じタイミングで届きます。
上の図の点線が通常の4カウントのパスです。この図を見るとこのパスの意味がよく理解できます。投げる側にとってはこのパスは通常のパスより1ビート早く、つまり自分の左手から相手の左手に向かって、通常のパスより少し高めに投げなければなりません。相手にとってはこのパスは通常のパスと同じタイミングで手に届きます。
クラブパッシングではこの少し高目のスローはダブルスピン(2回転)を使って投げることが多いです。これがこのスローがアーリーダブルと呼ばれる所以です(ボールやリングでは回転はないのでこれを意識することはありません。)
コーザルダイアグラムを見ると、あるパスをするときクラブは何回転させればいいのかの目安になります。要するに矢印が何ビート先を指しているかがそのままスピンの回数に相当していると思えばいいのです。矢印が1ビート先を指していれば1回転(シングルスピン)、2ビート先を指していれば2回転(ダブルスピン)、3ビート先を指していれば3回転(トリプルスピン)です。もちろんこれは絶対的な規則ではありません。
次は同じ発想で4カウントからのアーリートリプルという投げ方です。通常のパスより2ビート早く、通常のパスよりはるかに高いパスを出します。このパスを表す矢印は3ビート先を指しているのでトリプルスピンで投げるのが普通です。
この2つを組み合わせることもできます。次のダイアグラムは4カウントからアーリーダブル、アーリートリプルと連続的に投げたものです。
このコンビネーションを2カウントのパターンから投げることもできます。
逆行する矢印に注目してください。2つ後戻りする矢印は0の投げ方、つまりクラブを持っていない状態を指すものでした。つまり2カウントからこの投げ方をすると、一瞬右手がクラブを持っていない状態ができるのです。
次は7クラブパッシング、8クラブパッシングの2カウントのコーザルダイアグラムです。
クラブの数が奇数になるときは2人がクラブを投げるタイミングは半周期ずれ(つまり自分が右手で投げているとき、相手は左手で投げる)、クラブの数が偶数のときはタイミングは同期します。7クラブではすべての矢印は2ビート先を指し、8クラブでは3ビート先を指していますから先ほどの目安に従えば7クラブはダブルスピン、8クラブはトリプルスピンでジャグリングすることになります。しかし実際は7クラブをシングルスピンでジャグリングしたり、8クラブをダブルスピンでジャグリングすることもあるので、この限りではありません。
最後に非常に複雑な7クラブのパッシングパターンを紹介しておきましょう。これは”ポップコーン”と呼ばれるパターンで、3種類の投げ方が組み合わさった非常に面白いパッシングパターンです。
パッシングパターンは無数にあり、そのすべてをここに紹介することはできません。これ以上のことはクラブパッシング教本に委ねることにしましょう。