
ピルエットとはダンサーやバレリーナのようにその場で素早く体を回転させる技術です。ジャグリングの合間や、フィニッシュに効果的に用いられる重要なトリックです。難しい技術ですがこれを習得した時ジャグリング上級者への第一歩を踏み出した事になるでしょう。
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| §9-0 | ピルエットの方法 |
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ピルエットはジャグリングのトリックというよりはダンスやバレーの中で使われる基本的な技術です。バレリーナがつま先を軸に体をくるくると回転させる様子を思い浮かべるといいでしょう。あのように素早く体を回転させる動作をピルエットというのです。ちなみにピルエット(Pirouette)はフランス語です。
ピルエットはそれ自身が難しい技術です。試しにその場で素早く1回転して元の状態に戻ってみて下さい。大抵はバランスを崩して転んでしまうか、うまく戻れたとしても目を回して頭がふらふらしてくるはずです。ましてやジャグリングをするなんてもってのほかです。このトリックを習得しようと思ったらジャグリングの前にまずこのピルエット単独の技術をしっかりと習得しなければなりません。
ここで説明するのはピルエットのやり方です。ボールは必要ありませんから、とりあえず床に置いておきましょう。練習する時は危険のないよう、自分の半径2m以内に何も無いような広い場所で行ないましょう。
ちょうど回転するコマには中心軸があるように、ピルエットをきれいに行なうためには回転の軸が必要です。人間の体を1回転させる時には一方の足が軸の働きをします。コマが安定して回転するためには軸は地面に対して垂直でなければならないように、ピルエットをする時は足と体の重心を結ぶ直線が地面に垂直になるようにしなければなりません。そうしなければ回転の途中でバランスを崩してしまいます。
もう1つ大切なのは回転の推進力です。ピルエットをする時は、足で地面を蹴る事と上半身のひねりとによってこの推進力を生み出しています。地面を蹴るのはもちろん軸足とは反対の足です。床を蹴る足が自分のきき足となるようにするのがいいでしょう。大抵の人は右足がきき足でしょうから、左足を軸にし、右足で床を蹴る事になります。このとき体は頭から見て時計と反対の方向に回る事になります。逆に右足を軸にし、左足で床を蹴る場合は体は時計の方向に回転します。
上半身の働きは非常に重要です。物理学の法則によれば、回転を与える時腕を大きくのばし、回転を始めたら腕を体に近づけるようにすると素早いスピンが得られます(フィギュアスケートを思い出してください)。この原理を応用し、回転の初期は肩を大きく開いて腕で推進力を与えます。
ここでは左足を軸にした方法を解説します。右足を軸にする場合は左右を読み替えてください。
まず軸にする左足に自分の体重をかけます。体の重心は左足の真上にくるようにしましょう。この重心と左足を結ぶ直線が文字通り回転の軸になるわけです。右足を軸足から30cmほど右に離れたところに添えます。
膝を軽く曲げ、軸足はかかとを浮かし、つま先の方に体重をかけます。同時に右足で地面を捕らえます。
肩を開き、上半身を左の方向に勢いよくひねります。同時に右足は床を右後ろの方向に蹴ります。この2つ動作が回転の推進力となります。
あとはつま先に全体重を預けて360度回転します。このとき重心が軸からずれないようにしなければなりません。
1回転したら右足で回転をストップさせ、元の状態に戻ります。
最初はゆっくり、なれてきたら次第に速く回転してみましょう。回転の始めと終わりで体が前進したり、後退したりしている人は軸が安定していない証拠です。また最初と最後で自分の向いている方角が正確に同じかどうか確かめてください。難しい事ですがどんなに速く回っても、正確に最初と同じポジションで静止する事ができなければなりません。
ピルエットの練習段階で必ず起こるのが、ピルエットの後に目が回ってしまい自分がどの方向を向いているのか分からなくなってしまったり、ふらついてしまったりするという問題です。実はピルエットの動作自体はそれほど難しくないのですが、多くの人を悩ませるのはむしろこちらの問題なのです。
この解決にはバレリーナやフィギュアスケートの選手が使っているテクニックが大いに役に立つでしょう。その秘訣は回転の間、目は常にある一点を見つめておくというものです。
ピルエットを始める前、自分の前にある木や看板や人などなんでもいいですから動かないものを目標にしましょう。体が回転を始めても目線はしばらくその物体に残し続けます。体が90度以上回転した段階で頭を素早く回転の方向に動かします。そして体が回転し終えるより早く、目線は再び先ほどの目標を捕らえるのです。頭の中ではちょうどカメラがシャッターを切ったような映像になります。シャッターの前後で見えている映像は全く同じです。
簡単そうに書きましたが実はかなり習得には時間がかかる技術です。無理をせず、少しずつ練習を積み重ねていきましょう。最初のうちはほんの2,3回ピルエットをしただけで頭がふらふらしてくる事でしょう。それは誰もがそうなることです。そういう時は無理をせず別の練習をしましょう。ピルエットの練習は1日に根を詰めてやるよりも、ほんの少しずつでも構わないので毎日繰り返し行なう事をお勧めします。
| §9-1 | 1アップピルエット(One Up Pirouette) |
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ここからがいよいよジャグラーの領域です。カスケードの途中にピルエットを行なって見ましょう。アイデアは極めて単純です。カスケードから1つのボールを高く投げ上げ、それが空中に浮いている間にピルエットを行ないます。そしてボールをキャッチして再びカスケードに戻ります。これが有名な1アップピルエット(One Up Pirouette)です。
1アップピルエットには3つの段階があります。
まずはこの3つの段階を別々に練習し、その後でこの3つを1つにまとめていきましょう。
ボールを投げるのは右手から行なっても左手から行なっても本質的な違いはありませんが、ボールをどちらの手でキャッチするかは実は重要な問題です。ピルエットの回転の方向によってどちらの手でボールをキャッチするのが容易かが決まってしまうのです。もし左足を軸にして、左の方向に回転するとすれば、キャッチは右手で行なうのがほとんどの人にとって楽に感じるはずです。反対に回る場合は左手でキャッチする方が容易です。試してみればその理由はすぐに納得できるでしょう。以下ではボールを右手でキャッチすると想定して解説していくことにします(必要によって右左は読み替えてください)。
まずは1個のボールでハイスローとキャッチの練習をします。ボールを右手から正確に真上に投げ、再び自分の右手に落ちてくるようにしましょう。これはセルフスローです。同じ事をクロススローでやってみましょう。つまり左手からボールを投げ、右手でキャッチします。ボールは高く投げれば投げるほど誤差が大きくなるので正確に投げる事が難しくなります。特にクロススローの場合投げる高さによって角度を調整しなければならないので尚更です。
続いてカスケードからハイスローの練習をしましょう(§1を参照してください)。カスケードから1個のボールを高く投げ上げ、右手でキャッチしてカスケードに戻ります。これもクロススローとセルフスローの両方でやってみましょう。
ボールを投げた時、目線は飛んでいくボールを追いかけます(後に説明する重要なポイントです)。このボールの動きをよく観察しておきましょう。ピルエットにつながる面白い練習法として、ボールを投げた後、しばらくボールを目で追いかけたら、1秒ほど目を閉じて頭の中でボールの軌道を想像してみましょう。目を開けたとき、ボールが予想通りのところにありましたか?そのボールをキャッチしてカスケードに戻りましょう。ボールの動きを正確に想像できるようになれば、目を閉じる時間をだんだん長くしていくこともできます。言うまでもなく、目を閉じている時間があなたがピルエットをしている時間だと想定した練習です。
次にこの2つを組み合わせましょう。このトリックを成功させるには上で練習した安定したハイスローと安定したピルエットを行なうが全てです。2つの動作が的確なリズムで行われれば、ピルエットの後ボールをキャッチすることはそれほど難しい事ではありません。しかし実はこの2つを同時に成功させるのが1アップピルエットの難しいところなのです。ほとんどの人はピルエットをしなければならないという意識ばかりが先に立って、ハイスローがおろそかになります。特にボールがピルエットにつられて後方に飛んでいく事がよく起こります。これではせっかくきれいにピルエットをしても、ボールの行方を見失ってしまうことになるでしょう。
1アップピルエットの3つの段階はそれぞれが独立した動作であり、必ず一方が終了してからもう一方が始まらなければなりません。すこし曖昧な表現ですが"意識を分離させる"ことが必要です。1の動作をしている段階では2の動作の事は完全に忘れてしまいましょう。ボールを十分な高さに適切な軌道で投げる事だけに意識を集中するのです。1が正しく行なわれたとき初めて、意識が2の動作に移ります。ここでは美しくピルエットをすることに集中するのです。そして最後に3の動作に意識を移行させます。大切なのは速さではなくリズムです。
ここで重要なポイントですが1アップピルエットの時、視線はピルエットを始める最後の瞬間まで飛んでいくボールを追いかけていなければなりません。つまりピルエットの時の目線は投げたボールに固定させるのです。初心者は投げたボールの軌道を確認しないままピルエットを始め、ピルエットの後で慌ててボールの行方を捜しています。ですからすぐにボールの行方を見失ってしまうのです。上級者は落ちてくるボールの動きをピルエットの前にすでに確認しています。そしてピルエットの間そのボールの描く軌道を頭の中にイメージしているのです(先ほどの目を閉じる練習を思い出してください)。ですからピルエットの後すぐにボールをキャッチする動作に移行することができます。これはとても大切なポイントです。
まずは例によって1個のボールで練習を行ないます。右手からボールを投げ、ピルエットをし、再び右手でキャッチします。同じ事を左手から投げて行なってみましょう。投げたボールがピルエットにつられていないか、ピルエットの直前まで投げたボールに目線を置いているかどうか、など細かいところに注意しましょう。
さらなるトレーニングとして投げる高さをどんどん低くしてみましょう。ボールを低くすればするほど、ピルエットの前にボールの軌道を確認する事が重要になってくるでしょう。なぜならピルエットの後ボールを探す余裕はなくなってくるからです。ピルエットのエキスパートは頭の高さでも正確に1アップピルエットを決めることができます。
さていよいよカスケードからの1アップピルエットです。このとき1個ボールの練習ではなかった新しいポイントが登場します。それはハイスローとピルエットの間に1回のキャッチが入ることです。このキャッチは忘れられがちです。しっかりと"意識の分離"を行ないましょう。このボールをキャッチするまで意識をピルエットに移行させてはいけません。
もう1つ新しいポイントはピルエットの後にボールをキャッチする時、右手のボールを左手に投げなければならないという事です。体勢がまだ安定していないうちに投げると、あさっての方向にボールが飛んでいってしまいカスケードを復元する事ができません。このボールを安定して投げるためにはピルエットの最後にちゃんと体を静止させることも重要です。
始めのうちは1アップのボールをなるべく高く投げ、ゆっくりとピルエットをしてみましょう。だんだん慣れて余裕ができてきたら、ピルエットをできるだけ速く、そしてボールの高さをできる限り低くしていくのです。
最初のうちは5,6回試みただけですぐに頭がフラフラしてくるはずです。そうなったら無理をせずしばらく休憩をいれましょう。ピルエットのような動きの激しいトリックは1日で多くのことを習得しようとせず、毎日少しずつ練習するのがいいのです。体は少しずつ最も力のいらない、自然な動きを習得していくはずです。不思議な事ですが練習してしばらく休憩をした後に同じ事をやると、驚くほど簡単にできてしまうということがよく起こります。体が完全にピルエットの動きを覚えてしまえば、連続で10回ピルエットをしても少しも頭や体は疲れを感じなくなるでしょう。
さてこれがマスターできたらこれからジャグリング上級者への扉を開く事になります。以下のさらに難しいトリックに挑戦してみてください。
| §9-2 | フラッシュピルエット(Flash Pirouette) |
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フラッシュ(Flash)とはジャグリングしている全てのボールを高く投げ上げ手を空にすることです。この瞬間にピルエットを行い、再び全てのボールを集めてパターンを復元するトリックをフラッシュピルエット(Flash Pirouette)といいます。3ボールカスケードでは3つのボールをフラッシュするので単に3アップピルエット(Three Up Pirouette)と呼ぶ事もあります。大変鮮やかな技ですが、予想に違わず大変難しい上級技です。
3ボールフラッシュピルエットを習得するには、まずは安定した3ボールフラッシュを行なえるようになることが絶対条件です。投げた後にピルエットをする余裕を作らなければなりませんので、この3つの連続したスローは十分な高さで、できるかぎり素早く投げる事が必要になります。もちろんそれに加えて3つのボールは同じ高さに等間隔に投げられなければなりません。
1アップピルエットの時、左足を軸にしてピルエットをする場合ボールは右手でキャッチするのがよいという話をしましたが、3アップピルエットの時はこのことはとりわけ重要な意味を持ってきます。3アップピルエットで最初に投げたボールをキャッチするまでの余裕はほとんどありませんので少しでも時間を節約しなければいけません。ですから最初に投げたボールは必ず右手でキャッチするようにフラッシュを投げなければならないのです。
3ボールフラッシュには2つのスタイルがあります。1つは通常のカスケードと同じようにボールをクロススローで投げる方法、もう1つはボールを垂直にセルフスローで投げる方法です。クロススローで投げる時はボールは左手から左−右−左と3連続で投げます。セルフスローで投げる場合は右−左−右と3連続で投げます。
どちらも最初に投げたボールは右手でキャッチされる事になります。実は見た目にはそれほど違いはありませんから(フラッシュピルエットの場合、人はピルエットの方に気を取られてボールの軌道など見ていないものなのです)、自分のやりやすい方で練習すればよいでしょう。フラッシュピルエットをする場合コラムのスタイルで行なう方が簡単だと感じる人が多いようです。
さて、十分にフラッシュが安定したら次はそれにピルエットを付け加えるだけの事です。1アップピルエットの時に強調した"意識の分離"と"視線"の2つの注意はこの場合もそのまま当てはまります。
まずはピルエットのことを忘れて、3つのボールのフラッシュに意識を集中させましょう。特に重要なのは3投目です。この3投目を十分に投げきっていない段階でピルエットをしようとすると、ボールがピルエットにつられて大きく後方に飛んでいく事になります。これは非常によく起こる問題点です。3投目が完全に手から離れるまでは意識をピルエットに移行させてはいけません。
視線はピルエットを行なおうとする最後の瞬間まで、最初に投げたボールの動きを見つめていなければなりません。これはとても重要なポイントです。このボールがピルエットをした直後にキャッチしなければいけないボールだからです。このボールはこの段階では軌道の頂点を過ぎ、今まさに落下しようとしているところのはずです。ピルエットの後に落ちてくるボールを探しているようでは、とても間に合いません。そんなことをしている間にボールはあっという間に手をすり抜けて地面に落ちてしまうでしょう。このボールはピルエットを始める前に確認し、その軌道を頭にイメージしながら、ピルエットの後に適切な位置に右手を伸ばせるようにしておくのです。
とにかく最初はピルエットの後にこの第1投目をキャッチする事を目標にしましょう。実際この第1投目のボールさえキャッチできればフラッシュピルエットは80%がた成功したといってもいいでしょう。後に続く2投が正確に投げられてさえいれば、後は自然に手の中にボールが入ってきます。それをキャッチしてカスケードを復元すればいいだけの話です。
いきなり3つのボールのフラッシュで練習するのは少し大変ですから、その予備段階として3ボールカスケードから2つのボールを投げてピルエットをする練習をするのが効果的です。これは3ボールカスケードからの2アップピルエット(Two Up Pirouette)と呼ばれています。この場合手は1つのボールをつかんだまま、ピルエットをします。
もしクロスのスタイルで行なうのなら、カスケードから左−右とボールを高く投げてピルエットをし、右−左とボールをキャッチしてカスケードを復元してみましょう。これは1アップピルエットよりは難しいですが、3アップピルエットよりはずっと簡単です。もちろん反対の手から始める事も忘れてはいけません。
コラムのスタイルで行なうのなら、カスケードから右−左とボールを垂直に上に投げてピルエットをし、右−左とボールをキャッチしてカスケードを復元します。クロスよりもコラムのパターンが大抵の人にとっては容易に感じるようです。もちろん反対の手から始める方法でもやってみましょう。
練習法としてはウォーミングアップとして1アップピルエットから始め、徐々に2アップ、3アップと難易度を増していくのが効果的でしょう。前のトリックが次のトリックの土台となるものです。1アップが正確にできなければ2アップをする事は不可能ですし、2アップが安定しないのに3アップを成功させるのは至難の業です。無理をせず、毎日少しずつ練習を積み重ねていきましょう。
フラッシュピルエットは簡単なトリックではありません。しかし初めて成功した時はその喜びも大きいものです(僕は今でもこのトリックを初めて成功させた場所を覚えています)。それはあなたが完全にジャグリング上級者の領域に足を踏み入れた貴重な瞬間でもあるからです。

このくらいのことではまだまだ物足りない飽くなきチャレンジャーのために、フラッシュピルエットをさらに難しくするいくつかのアイデアを書いておきましょう。
3アップピルエットから直接フィニッシュをしてみましょう。3つ目のボールを少し他のボールより高めに投げます。ピルエットをして、最初の2つのボールをそれぞれの手でキャッチし、それを片手に集めます。開いた手で最後に落ちてくるボールをキャッチして、決めポーズです。
これはいくらでも難しく、そして格好よくすることが可能です。例えば最後のボールをバックキャッチで取ってみましょう。もしくは2つのボールを両手に持ったまま最後のボールをネックキャッチして見ましょう。拍手喝采間違い無しのフィニッシュです。
これも1つのアイデアですが3アップピルエットの後、直接オーバーザヘッドや体の横のカスケードに移行して見ましょう。いうまでも無くウルトラC級の技です。
もちろん4ボール以上の基本パターンからでもフラッシュピルエットをする事は可能です。やり方は簡単に想像できるものですから、あとはどうぞご自由に。
| §9-3 | ハーフピルエット(Half Pirouette) |
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ハーフピルエットとは180度だけ体を回転させるトリックです。これにより体の向きは完全に反対になります。これはステージの上で方向転換をする時によく使われるテクニックです。さらにありがたいことにこのトリックは普通のピルエットよりもはるかにやさしいものです。もしピルエットの練習にほとほと疲れ果てたなら、是非このトリックを練習しましょう。
基本的に回り方は通常のピルエットと同じです。一方の足を軸足にし、体を180度ひねるだけです。ハーフピルエットでは足で地面を蹴る必要はほとんどありません。上半身をひねるだけで右方向にも、左方向にも簡単に体を回転させる事ができるはずです。
次にカスケードからハーフピルエットをしてみましょう。1個のボールを投げてハーフピルエットをしてカスケードに戻ります。ここでボールは真上ではなく体の後ろに投げなければなりません。
ボールの投げ方として体のラインに平行に投げる方法とクロスさせて投げる方法の2通りがあります。注意して欲しいのは180度回転すると通常とキャッチする手が逆になるということです。つまりクロスで投げたボールは再び同じ手でキャッチされる事になり、平行に投げたボールは投げた手と反対の手でキャッチされる事になります(わざとややこしくいえばクロスで投げたボールはセルフになり、セルフで投げたボールはクロスになるのです、OKですか?)。
やりやすさは人それぞれなのですが、一般的には右手でボールを平行に投げ、右に180度回転し、それを左手でキャッチするのが最もやりやすいと感じるようです(もちろん右、左逆でも同じ事です)。
このトリックが通常のピルエットに比べて簡単なのは体を半転させている時も常にボールの軌道を見ていることができるからです。それは単に回りながら上を向いて投げたボールを追いかけていればいいだけの事です。ピルエットの時のようにボールを見失う心配は全くありません。
ここでハーフピルエットの2つのバリエーションを紹介しておきましょう。この2つは見た目の印象が全く違います。どちらも最初の体勢は同じです。一方の足に体重を乗せ、もう一方の足を前に出しておきます。ステージ上では観客に対して横を向いていることになります。
1つ目のバリエーションは体重を乗せている足を軸に回転する方法です。このとき体の軸の位置はそのままで体が反転します。これでハーフピルエットをすると体の位置は変わらず、カスケードの位置が体をはさんで左右逆になったことになります。
2つ目のバリエーションは前に出した足を軸に回転するという方法です。これは体全体が大きく右から左に動きます。このバリエーションでハーフピルエットをするには実はボールは真上に投げればいいのです。カスケードの位置は変わらず、体の位置がカスケードをはさんで左右逆になったことになります。
本質的に同じムーブでも何の位置を固定するかで全く見た目が変わってしまうというよい実例です。
ボールの投げ方にはクロスとセルフの2種類のタイプがありますし、ハーフピルエットのバリエーションも上で述べた2種類が考えられます。いろいろなバリエーションに挑戦してみましょう。
以下に解説するのはフラッシュハーフピルエットに限りなく近い、より簡単なバリエーションです。いわば偽者のフラッシュハーフピルエットなのですが実はこれだけでも十分に格好よく見えてしまうのが不思議なところです。3つのボールを投げながら、体の向きを180度回転させます。
まず正面に対して足を少し開いて立ちます。その状態でつま先と体を右に向けましょう。体の正面で3ボールカスケードをします。
1つ目のボールを右手から背後にややクロス気味に投げます。続いて左手のボールを背後に平行に投げます。ここで体は左回転を始めます。
体を正面に開いた状態で左手は最初に投げたボールをキャッチします。同時に右手はまるでオーバーザトップを投げるかのように大きな弧を描いてボールを投げます。
さらに体は左に回転を続けます。このとき右手は2投目のボールをキャッチします。ここで完全に体は最初の状態と反対向きになります。ここで最後に投げたボールをキャッチしてカスケードに戻るのです。
まるで3ボールでフラッシュハーフピルエットをしたみたいに見えるでしょう。しかし実際には手が空になる瞬間はありませんので、ボールをフラッシュで投げたわけではないのです。

ハーフピルエットの更なるアイデアです
1つのボールを常に後方に投げ、ハーフピルエットを連続的に繰り返してみましょう。まるで自分の体をはさんで1人でキャッチボールをしているような面白い図になります。(これは1つのボールに常にトリックを適用するという公式を当てはめたものです)。
ボールを背後に投げずに、垂直に上に投げ、通常のハーフピルエットをしてみましょう。これは相対的にボールを後方に投げたのと同等になります。このボールを背中の後ろでバックキャッチをしてカスケードに戻して見ましょう。
3つのボールをフラッシュで投げ、ハーフピルエットをしてオーバーザヘッドに直接移行してみましょう。これはインパクトの強いトリックです。
| §9-4 | ダブルピルエット(Double Pirouette) |
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その場で2回転することをダブルピルエットといいます。無論大変難しい技ですが、無謀にも(いや果敢にも)このダブルピルエットをジャグリングの中で使おうと思っている人のため、ここではいくつかのヒントを述べておきましょう。
ダブルピルエットを実現する方法としては2つあります。
1つは通常の1回転ピルエットを2回連続で行なう事です。言い換えれば1回ごとに体の回転をストップさせるのです。この方法を使えば通常のピルエットができる人なら、目が回らない限り、何回でもピルエットを続けることができます。
もう1つの方法は回転を止めずに、連続で素早く2回転する方法です。これはいかに回転力を持続させるかが重要な問題になってきます。これには上半身が大変重要な働きをします。上半身のひねりを使えば常に回転の推進力を与えることが可能です。またこの方法では自分がどの方向を回っているのかがすぐに分からなくなってしまいがちです。正面の目標を定め、視線を常にその目標に固定しておく必要があります。難しい方法ですが、前者よりもはるかに2回転するスピードは速くなります。
1つのボールを投げて、2回転してボールをキャッチしてみましょう。上の2つの方法で共に試みてみましょう。
これは次のように行ないます。
まず3ボールフラッシュを投げますが、3投目のボールを他のボールの2倍くらいの高さで投げます。
まず1回ピルエットを行って静止し、最初に投げた2つのボールを両手にキャッチします。
さらにもう1回ピルエットを行い、3投目のボールをキャッチしてカスケードを復元させます。
ポイントは3つ目のボールを正確に十分な高さで投げる事です。後はあなたの努力あるのみです。
もちろん2回以上回転する事も可能です。3回転はトリプルピルエット、4回転はクアドラプルピルエット、5回転はクイントゥプルピルエットと続きます。ここまで来るともはやダンスやバレーの領域という気がします(ちなみにクラシックバレーでは10回転以上ピルエットをすることも珍しくないようです)。これに関してはどうぞ他の専門書を参考にして下さい。なぜならこれは筆者の能力をはるかに超える問題だからです。
| §9-5 | 更なるアイデア |
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ここでは少し章の範疇を逸脱しますが、1アップ2アップというパターンからのピルエットのバリエーションについて触れておきましょう。なぜならこのパターンからのピルエットもカスケードと並んで頻繁に使われるからです(しかも慣れればカスケードよりも簡単です)。1アップ2アップについては第3章の§1を参照してください。
中央の1アップのボールを高く投げ、2アップのボールをキャッチしてピルエットを行ないます。落ちてくるボールをキャッチして、1アップ2アップのパターンに戻ります。
今度は上とは逆に両サイドの2アップのボールを高く投げ、中央のボールをつかんでピルエットを行ないます。落ちてくる2つのボールを同時にキャッチしてパターンを復元します。
次は2つのボールを高く投げ、続いて1つのボールを高く投げて、ピルエットをします。ピルエットの後2つのボールを同時にキャッチし、続いて1つのボールをキャッチしてパターンを復元します。
まず2つのボールを高く投げ、続いて1つのボールをその2倍くらいの高さに投げます。1回ピルエットをし、最初の2つのボールを両手でキャッチします。続いてもう1度ピルエットを行い、最後に投げたボールをキャッチしてパターンを復元します。
これも1つの面白いアイデアです。
床に仰向けに寝転んだ状態でオーバーザヘッドをジャグリングします(§4のライダウンを参照してください)。 この状態でピルエットをしてみましょう。方法は次のとおりです。
1つのボールを高く投げ上げます。このとき高く投げたボールは今寝転んでいる地点よりも体2つ分ほど右に落ちるようにします。
すかさず体を右にごろんと回転させます。これで体は右に体2つ分移動します(これがいわゆるピルエットです)。
そこで落ちてくるボールをキャッチしてオーバーザヘッドに戻ります。
