
この節のテーマはボールの動きではなくむしろ体の動きにあります。いままでの節ではボールを投げる軌道をほんの少し変化する事でカスケードの見た目が大きく変わる事を見てきました。それと同様に体の動きをつけたり、姿勢を変えたりすることによっても単純なカスケードが変幻自在となります。そのアイデアをしっかりと汲み取ってください。
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| §4-0 | カスケードと体の動き |
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カスケードと体の相対的な位置関係を変えるさまざまなアイデアを紹介しましょう。これらは一見地味なトレーニングに見えるかもしれませんが、ジャグリングのあらゆる局面で役に立つ事柄です。
リラックスした状態であなたの最も安定したカスケードをジャグリングして見ましょう。そのとき当然カスケードはあなたの正面、胸の辺りにあります。これが基本となるカスケードの位置です。カスケードをどのように動かしても最終的にはこのポジションに戻ってきます。
3つのボールが動く空間を四角いフレームで囲ってみたところを想像してみてください。これからやるのはこのフレームを移動させる練習です。フレームはちょうどカスケードが入れられた箱のようなものだとイメージしてください。カスケードを動かす時は常にこの箱に入れたまま動かします。箱の形や大きさを変化させてはいけません。
それでは体の位置はそのままでカスケードを右に移動させて見ましょう。右手と左手の幅はそのままでカスケードの形を保っています。決してカスケードが右側に引き伸ばされるわけではありません。
基本のポジションから始め、徐々にカスケードを右に移動させて、ちょうどフレーム1つ分右に移動させます。そこでしばらくジャグリングを続け、再びゆっくりと左に移動させ、基本のポジションに戻します。
同様に左側に移動させて見ましょう。
同様のことを上下に行ないます。このときもカスケードの幅、高さは一定に保ち、全体の枠組みだけを上下に移動させます。
下のポジションにいくときは膝を曲げずに腰を折り曲げます。ちょうどあなたはカスケードを上から眺めている姿勢になります。そこでしばらくカスケードを続け、少しずつ腰を起こして、基本のポジションに戻ります。
今度は逆に少しずつ高さを上げていき自分の顔の前でカスケードをしてみましょう。このポジションでジャグリングを続ける事は少し難しく感じるでしょう。慣れないうちは自分のうまくできるところまでで結構です。(オーバーザヘッドができる人なら頭の上までカスケードを上げてみましょう。オーバーザヘッドに関しては次項で解説します。)
次にカスケードのフレームを体にもっと近づけてみましょう。手を体のぎりぎりまで近づけます。(このとき高さは基本ポジションから変わってはいけません。)今度は逆に遠ざけてみましょう。手をピンと伸ばした状態でカスケードをします。 以上の練習は一見つまらないものかもしれませんが、いろいろなポジションでカスケードを安定してジャグリングできるようにすることは大変重要なことです。
ここからが少し面白いところです。上に書いた左右、上下、前後の動きを組み合わせてみるのです。
基本ポジションからフレームを下側に移動させます。次にそのポジションから(高さを変えずに)左右にフレームを動かしてみましょう。また右のポジションから(横方向に動かずに)上下にフレームを動かしてみましょう。
上下左右を組み合わせると計9個のポジションができるはずです。フレームを自由に上下左右に動かし、それぞれのポジションで固定させて見ましょう。1つのポジションから別のポジションに移動したらその場所でしばらくカスケードを固定させ、再び次のポジションに移るようにします。 もちろんこれに前後の動きを組み合わせる事も可能です。
次にこれらのポジションをスムーズに変化させて見ましょう。例えば
右→下→左→上
というように大きな円を描くように動かしたり、8の字型に動かす事もできます。 このときもカスケードのフレームが変形しないように注意しましょう。
次にカスケードをしたまま、同じ位置で回転してみましょう。右回りに一周したら、今度は左回りにも回転します。次に足の位置は固定したまま、体をできる限り右、左にひねってみましょう。
いずれの場合もカスケードのフレームは自分の正面にあるようにします。

今までの練習はすべて体の軸を固定させ、カスケードのフレームを上下左右に動かしていました。このアイデアを逆手にとってカスケードのフレームを固定させ、体を上下左右に動かしてみる事もできます。このように固定されるものと、動かされるものは常に表裏一体の関係になります。体を固定させてフレームを右に移動させる事と、フレームを固定させて体を左に動かす事には本質的な違いはありません。こうするとカスケードは常に空間のある位置に固定され、それをジャグリングしている体がその周りを動いているような面白いイリュージョンを生み出す事ができます。
カスケードのフレームを正確に固定させる事は非常に難しい技術です。これはパントマイムで"アイソレーション(独立)"といわれている技術に通じるものがあります。
カスケードの位置を固定させて
・カスケードをわきを大きく広げてやってみましょう。逆にわきをきつく締めてやってみましょう。
・カスケードを右肩をあげてやってみましょう。左肩をあげてやってみましょう。両肩をあげてやってみましょう。
以上のアイデアをさまざまに組み合わせてアドリブで動きを作って見ましょう。技術的には単純なカスケードをしているだけですが、体の動きだけで十分にショーとして成立させる事ができるのです。もしダンスが得意な人がいれば、カスケードにダンスのさまざまな動きを取り入れてみるのも面白いでしょう。
| §4-1 | オーバーザヘッド(Over the Head) |
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これは頭の上でカスケードをするというアイデアです。ちょうどカスケードを下から覗いているような視点になります。通常のカスケードとは投げ方、キャッチの仕方、(自分にとっての)見た目が全く変わってきますので、このパターンを習得しようと思ったら、もう一度1からカスケードを練習しなおすつもりでいたほうがいいでしょう。
ちょうど手を太陽にすかしてみるように両手を空にむかって突き出します。この状態で肘を曲げて手を顔に近づけます。これがオーバーザヘッドのポジションです。
ボールの投げ方には2種類あります。1つは両肘を近づけ、下から押し上げるようにボールを投げる方法です。もう1つは両肘を開き、腕全体の動きでボールを投げる方法です。前者の方が一般的です。後者は前から見たときの美しさを重視した方法です。どちらもボールは顔の真上でジャグリングされます。
例によって1個のボールから投げる練習をしましょう。ボールの投げ方が分かったら、ボールの数を増やしていきます(この辺りは3ボールカスケードの練習で説明した事の繰り返しです)。下から見ているとボールの高さが全く分からないことに気付くでしょう。この遠近感をつかむことは重要課題です。失敗するとボールが頭の上に落ちてきてしまいますから、鼻血をだすのが嫌な人はくれぐれもやわらかいボールを使いましょう。
できる限りボールを低くコンパクトに投げるのが安定させるポイントです。
このジャグリング上達の近道は、ベットの枕元に3つのボールを常備しておくようにすることです。その理由は何かって?それは以下を読み進めていきましょう。
オーバーザヘッドができるようになると自分がジャグリングできる空間が頭の上にまで広がります。さらにすばらしいことにオーバーザヘッドは寝転んだ状態でジャグリングするほとんど唯一の手段でもあります。ベットに仰向けになって、自分の顔の上でジャグリングしてみてください。
これはオーバーザヘッドの良い練習でもあります。寝る前、目が覚めた後、立ち上がる前に枕もとのボールをとってジャグリングする習慣をつければ、オーバーザヘッドはすぐに上達することでしょう。(さらに素晴らしい事にこの練習法は落としたボールを拾う手間はいりません。)
| §4-2 | ライダウン(Lie Down) |
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寝そべってジャグリングをする技術を習得するとさらに自在な体の動きが可能になります。以下にいくつかのアイデアを書いていきましょう。この他にも自分独自のバリエーションを見つけてみましょう。
立ち上がった状態で通常のカスケードをします。そこからオーバーザヘッドに移行しましょう。そのままの状態でジャグリングを続けながら徐々に寝転がっていきましょう。まずは膝をつき、次に足を前に伸ばします。そうしたら徐々に上半身を後ろに倒していき、完全に寝転んだ状態になりましょう。
次は全く逆の手順を踏んで、寝転んだ状態から徐々に起き上がっていきます。この間もずっとオーバーザヘッドでジャグリングを続けます。完全に立ち上がったら、通常のカスケードにもどし、フィニッシュを決めます。 これだけの手順を一度もボールを落とすことなくやり通すことができたら、あなたはもう立派にジャグリングの上級者です。
これはジャグリングのトレーニングをしながら、同時に腹筋を鍛える事ができるという素晴らしいアイデアです。まず床に腰を下ろし、足を前に伸ばして上半身を立てます。この状態で通常のカスケードを行ないます。この状態から徐々に体を後ろに寝かしていきます。カスケードの位置を同じ高さに固定しようとすると相対的にカスケードは頭より上にやってくるはずです。適当な位置でカスケードをオーバーザヘッドに切り替えます。そのまま完全に後ろに寝転がります。
今度はこの反対の手順を踏んで、体を起こしていきます。このときも適切な位置でオーバーザヘッドを通常のカスケードに切り替えなければなりません。
これを繰り返すとあたかもジャグリングをしながら腹筋のトレーニングをしているように見えるでしょう。
もちろん同じことをオーバーザヘッドだけを使って行なう事もできるでしょう。
床に横たわった状態でオーバーザヘッドを行ないます。この状態で腰の辺りが中心軸になるように足を使ってすこしずつ回転してみましょう。もちろんこの間もカスケードは続けます。回転にあわせて投げる方向を微妙にコントロールする事が必要です。
これは寝転んだ状態でのアンダーザレッグ(Under the Leg)です。いや、正確にはこの表現は的確ではありません。なぜなら実際はボールは足の上を通る事になるからです。
寝そべってオーバーザヘッドをジャグリングします。足を持上げ、顔の上に持ってきます。(ちょうどストレッチ体操をしているような姿勢です。)この状態でボールを足の上を通して見ましょう。足の動きをつけるとさらに面白くなるでしょう。
以上では寝そべって行なうジャグリングのバリエーションを見てみましたが、座った状態で行なうジャグリングのバリエーションも見てみましょう。
膝を立てた状態で腰を降ろします。(いわゆる体育座りです。)左右の膝をひっつけておきます。これを基本姿勢としましょう。
この状態では膝が邪魔でカスケードはできません。しかしリバーズカスケードなら全く問題なくできるはずです。ちょうどボールが膝を飛び越えるようにリバースカスケードをしてみましょう。
次に膝を広げ、両手を膝の下から内側に入れて、その場所で通常のカスケードをして見ましょう。
今度は膝をそろえ、左手を両膝の下をとおし、右側に突き出します。その状態で通常のカスケードをして見ましょう。これは体の右横でカスケードをしているような感覚になります。もちろん反対のサイドでも同じことを試して見ましょう。
上に書いたいくつかのパターンをジャグリングを止めずにスムーズに移行してみましょう。非常に面白いパターンになります。
さらに面白いアイデアを1つ紹介しておきましょう。両膝を広げた状態でリバースカスケードをします。このときすべてのボールは膝の外側から投げ、膝の内側でキャッチするのです。
これらの練習はボールを拾う手間が要らず、狭いスペースでも楽しむ事ができる貴重な利点があります。
| §4-3 | 自由の女神(Statue of Liberty) |
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ここでのアイデアは
左右の手の高さを変えてジャグリングしてみる
というものです。カスケードをしながら、左手の位置をすこしずつ上げていきましょう。ジャグリングのリズムを保つためには右手は少しずつボールを高く投げ、左手は少しずつ低くボールを投げなければならなくなります。
最終的には左手を完全にピンと伸ばした状態でカスケードをして見ましょう。これはその見た目から自由の女神(Statue of Liberty)と呼ばれるものです。ウォーターフォール(Water Fall)、キリン(Giraff)の別名もあります。
この状態では左手はボールを"投げる"というより、むしろ単に"落とす"という感じになります。つまりボールを持っている手を緩め、自然にボールを落下させるのです。
このパターンはピンと伸ばした手をできる限り動かさないのが美しく見せる秘訣です。右手はできるかぎり正確に左手にボールが来るようにコントロールします。もしボールの位置がずれている場合は左手を動かすのではなく、ボールの落下地点に体全体を動かすようにします。これによって左手が(相対的に)固定されている印象を与えることができます。
右手のボールを落ちてくるボールの内側を通すのではなく外側を通すように投げて見ましょう(いわゆるアウトサイドスローです)。こうするとボールの軌道はクロスせず、縦長の円軌道をボールが循環します。ちょうどハーフシャワーを手の高さを変えて行なっているのと同じです。これも美しいパターンです。
| §4-4 | コントーション(Contortion) |
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体を不自然な形にねじることをコントーション(Contortion)といいます(これはジャグリングというよりアクロバットの領域に近くなってきます)。ここではコントーションとジャグリングを組み合わせたようなトリックを紹介します。
あらかじめ忠告しておきますが、これから紹介するジャグリングはくれぐれも無理をしないように練習してください。とくに始めのうちはなれない姿勢で無理に筋肉を動かそうとして、体を痛めてしまうことがあるかもしれません。試してみようと思ったらまず柔軟体操を行い、体の筋肉をよくほぐしましょう。そして毎日少しずつ練習して徐々に体を慣らしていくといいでしょう。(中には特異な体質を必要とするものもあるかもしれませんが。)
まずは簡単なコントーションです。
手を反対側の足の内側から外側に突き出し、その状態でカスケードをしてみましょう。これは比較的簡単です。両手で同じようにできるようにしておきましょう。
これは比較的よく知られているトリックですが、なぜか英語でも正式な名称が定められていません。(とりあえず日本語で"体の横"と名づけておきましょう。)
アイデアは簡単で一方の手を背中の後ろを通して反対側に突き出し、体の横でカスケードをするというものです。このトリックは訓練次第では誰でもできるようになりますし、応用範囲も広いものです。
練習を始める時は十分に肩と腕、そして手首のストレッチをしましょう。手(今は左手にします)を背中に回し、反対側、右の腰辺りにに突き出してみましょう。目で手の指をかろうじて見ることができるはずです。カスケードはこの姿勢を維持して行なわれます。もしこの姿勢を維持する事が難しく感じたら、とりあえず長い時間をかけてストレッチを行い、体を慣らしていきましょう。
背中の後ろに回した手はほとんど手首の動き(と腰の動き)だけでボールを投げます。ですからそれほど高くボールを投げる事はできません。(必然的にカスケードの高さは低くなります。)右手に2つ、左手(背中の後ろ)に1つボールを持ち、カスケードを続けて見ましょう。どうです、かなり難しいでしょう。
いきなりカスケードを続けるのが難しい人は、通常のカスケードから1投だけこのトリックを挿入してみましょう。これは前の節バッククロスで解説したバックキャッチ&スローによく似ています。
通常のカスケードを行ないます。右手のボールを左に投げる代わりに、右手のすぐそば(体すれすれ)にほぼ垂直に投げます。
左手を背中の後ろに伸ばし、上に書いた右腰のポジションで左手のボールを投げ、右手からのボールをキャッチします。
再び通常のカスケードに戻ります。
慣れてくればできる回数を徐々に増やしていきましょう。
ボールを投げる時(またはキャッチする時)腰を左側に引っ張るようにすると、スペースができて左手がボールを扱いやすくなります。体の横を連続して行なうと、ボールを投げるのに連動して腰が左右に動く事になります。
体の横を右サイドでも左サイドでもできるようにしましょう。次にジャグリングしながらサイドを入れ替えてみましょう。右サイドで体の横を行い、右手から左側にボールを大きく投げます。このボールは体の正面をとおり、体の左サイドでキャッチされ、左のサイドの体の横に移行します。これを2回おきに行なう(つまり同じボールが左右に行き来する)ようにすると大変面白いパターンになるでしょう。
また先に述べた足の下と体の横を組み合わせても面白いでしょう。いろいろな発展を楽しんでみてください。
体の横のバリエーションとして両腕を体の後ろにまわして両方から突き出し、その状態で体の前方をカスケードするという技が考えられます。まさにコントーションと呼ぶにふさわしいものです。できる人はそれほど多くはないかもしれません。
ちょうど又の下から背中の後ろを覗くような体勢になります(つまり天橋立の正しい観賞方法です)。この状態で手を後方に突き出し、ジャグリングします。上下逆なので、やっている人にとっては重力の感覚が逆になります。
手を1度交差した状態でカスケードを行ないます。実は手を交差した状態ではリバースカスケードの方が人間には自然に感じられるようです(これはクロスドア−ムリバースといわれるパターンです)。もしあなたが特異体質の持ち主なら手を2度クロスした状態でカスケードをすることができるかもしれません。
| §4-5 | ブラインドジャグリング(Blind Juggling) |
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ブラインドジャグリングというのは自分の見ていないところで、または完全に目隠しをした状態でジャグリングをする技術です。
この項目は他とはすこし趣が違うものかもしれません。この項のテーマは体の動きというより、意識の動きとでもいうべきものでしょう。意識の動きをコントロールする事は体の動きをコントロールすることよりも少し高度な技術です。
初心者はジャグリングをするとき、その全神経を今自分が投げているボールに注ぎます。もちろん目線も投げているボールに注目しています。しかし上級者になると必ずしも投げているボールを見ていなくても、あるいは全く別のものに意識を集中した状態でもジャグリングをする事も可能になります。
ジャグリングを演じるという観点で考えた時、この技術は極めて大切です。ショーにおいては自分がジャグリングしているボールだけではなく、それを見ている観客、ステージなどに常に目線や意識を移動させる事ができなければならないからです。一心不乱にジャグリングをしているジャグラーは観客にアピールする事ができませんが、もしジャグリングをしながら観客の方をみて微笑を投げかける事ができれば観客はとても感銘を受けるでしょう。またジャグリングをやりながら同時にほかの事をする(例えばあごでバランスを取る)というときも、この技術は大切です。
予備練習として、まず視線をカスケードからそらす練習をして見ましょう。カスケードをしながら、目線は正面を見ます(具体的に何か自分の正面にあるもの、壁や人などを注視してみるといいでしょう)。このとき、目の端ではかすかにカスケードの頂点を捕らえています。同じように右や左に目線を送ってみましょう。
どうでしょう。カスケードが安定している人にとっては、これは思ったほど難しくないはずです。もしこれでも難しいと感じる人は鏡の前でジャグリングしてみましょう。このとき自分の目の前のカスケードを注目するのではなく、鏡の中のカスケードを注目します。
さて次は完全に目線をそらします。ほんのわずかの間目線を頭の上、天井や空に浮かんでいる雲に向けてみましょう。最初はほんの2,3投だけ、慣れてくれば次第に長くしていきます。このときはボールの軌道は全く見えていませんので、頼るのは惰性のみです。
他にもカスケードをしながらありとあらゆる動作をして、カスケードから意識をそらせて見るといいでしょう。例えば友達とおしゃべりをする、本を読む、テレビを見るなどです。慣れてくると自分のカスケードがほとんど無意識の状態でもつづいていくことに気付くはずです。
目隠しをされた状態でジャグリングをする事をブラインドフォールディッド(Blind Folded)と呼びます。カスケードが安定している上級者にとってこれは不可能な事では全くありません。
まずは目を開けた状態でカスケードをします。カスケードはできる限り小さくコンパクトにするのがポイントです。そのカスケードのイメージを持ったまましばらくの間(最初は2,3投)目を閉じてみましょう。
これはとても奇妙な感覚です。目線をそらしてジャグリングする事ができていた人でも目をつむるととたんにできなくなることはよくあります。人間は何も見えない状態では精神的にもかなりプレッシャーを感じるものです。暗闇の中で自分が投げているボールの軌道をイメージしましょう。できる限り雑念を捨て、自分が作っている軌道のイメージを強く信じこみましょう。もしその信念が揺らいでくると、ボールはたちまち手をすり抜けて落ちてしまいます。自分の中の第6感が研ぎ澄まされていくような快感を覚えるでしょう。
もしこの快感の味を覚えてしまったなら、あなたはもはやカスケードだけでは物足りなくなってしまうかもしれません。そうです。目をつむった状態でオーバーザトップ、ボディースローなどあらゆるトリックに挑戦してみましょう。
ブラインドジャグリングはショーの中で使うのも極めて効果があるものでしょう。目をつむってジャグリングをするなんて一般の人にとっては超能力にも等しく感じられるはずです。しかしもしあなたがこのブラインドジャグリングをジャグリングのショーの中で使いたいと考えるのなら、観客にとってあなたが完全に目をつむっている事が証明されなければなりません。このジャグリングにはなんのトリックもありませんが、観客は真っ先にあなたが何かのトリックを使っているのではないかと疑うでしょう。
目隠しをする、観客に目を押さえてもらう、上を向くなど誰の目にもボールが見えていないことが明らかになるようにする工夫をして下さい。

カスケードをしたまま上を向く練習をしましたが、同じ発想でオーバーザヘッドをジャグリングしながら下を向いてみましょう。
またはカスケードを体の右でジャグリングしながら目線は左に向けてみましょう。
カスケードを体のさまざまな部分に移動させながら、視線は常にその反対側におくるのは非常に面白いイリュージョンを生みます。まるでカスケードがあなたの意思に反して自由自在に動き回り、あなたは何が起こっているのか全く理解できずにきょろきょろしているように見えるでしょう。
