
ジャグリングトリックの花形。ボディースローについて解説します。
| Index | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
| §3-0 | イントロダクション |
|---|
一流のジャグラーがボールを足の下や背中の後ろなど体のいろいろな部分を自由自在に通してジャグリングしているのを良く見かけますよね。このようにボールを体のいろいろな部分を通して投げる投げ方をボディースロー(BodyThrow)と言います。これらのトリックは見る観客はもちろんのこと、ジャグリングを志す全ての人を魅了してやみません。
ボディースローの見た目の効果は抜群です。やっていることが誰の目にも分かりやすく、信じられないほど難しい事のように思えます。僕がジャグリングを始めたころ、あるジャグラーが背中の後ろからボールを投げる技を見て強烈な感銘を受けたのを思い出します。まさしくこれぞジャグリングといわんばかりのインパクトでした。
これらのトリックの優れたところはジャグリングのいかなる瞬間にも挿入する事ができるので、その応用範囲が非常に広いということです。それ自体でもパターンとして発展させる事ができますが、簡単なジャグリングパターンの中にアクセントして応用して使うのも効果的です。それによって全く印象が異なる新しいパターンが生み出されたりします。
ジャグリングの世界はボディースローを覚える事によって驚くほど広がっていきます。この節の目標はそんな大切なボディースローの基礎を練習段階から丁寧に解説していく事にあります。今までのトリックに比べると幾分難易度は高いですが、それだけの苦労をして習得するだけの値打ちは十分にあります。
ボディースローの代表選手は
という3つのトリックで、このどれもが多くのパターンにつながっていく大切なものです。この節でもこの3つのトリックに特に多くのページを割いて、解説していきます。またこれらのトリックを発展させてどのようなパターンができていくかも同時に見ていきたいと思います。
| §3-1 | ボディースローの基礎、練習法 |
|---|
すべてのボディースローは(基本的には)カスケードの中から投げられます。ボディースローによって、ボールの高さやリズムが若干変化する事はありますが、カスケードの形自体は一切崩れません。つまりボディースローは右−左−右−左というカスケードのロジックはそのままに、軌道をほんの少し変化させてあげるに過ぎないのです。安定すればボディースローによってカスケードのリズムが崩れる事すらなくなります。
ボディースローの練習の時に共通に発生する問題があります。これについては最初にすこし触れて起きましょう。ボディースローをカスケードの中に挿入しようとした時、もしボールを落としてしまうとしたらほとんどの場合そのボールは
ボディースローをした手が次に取るべきボール
だということです。これはどういうことでしょう。ボディースローをする時どうしても人間の意識はその投げるべきボールに集中してしまいがちです。ボールを投げた瞬間、その投げたボールを取る事に意識が飛んでしまうため、投げた手が次に取るべきボールの事がすっかり忘れ去られてしまうのです。
ボディースローを成功させようと思うなら、ボディースローをしている時、自分の意識は次に取るべきボールに向けられなければなりません。裏を返せばボディースローは何も考えずとも投げられるように体に覚えこませなければならないのです。
そのために全ての練習はまず1個のボールを正確に投げるトレーニングから始まります。これはボールの投げ方を体が覚えるための段階(Step1)です。頭で考えなくても体がスムーズに適切な動作をしてくれるようにまでならなければなりません。 それができたら今度はカスケードの中でそれをいかに挿入するかという練習です。これはボールを投げるリズム(タイミング)を覚える段階(Step2)です。このとき先ほど述べたように自分の意識をどのボールに向けるべきかということをコントロールする必要があります。
ボディースローは一方通行のトリックなので、一旦片方の手でマスターしたらそれを逆の手でもできるように練習していきます。またある一定の周期でトリックを繰り返す事によってパターンを作っていきます。これはトリックをさらに安定したものにしていく段階(Step3)です。
あらゆるボディースローのトレーニングはこの3つのステップを踏みます。
| §3-2 | アンダーザレッグ(Under the Leg) |
|---|
アンダーザレッグはボールを足の下を通す投げ方です。比較的簡単でインパクトが強いトリックですから、カスケードができるようになった初心者が挑戦するにふさわしいトリックと言えるでしょう。
一言に足を通すといってもその通し方はいくつかのバリエーションがありますのでまずそれから見ていきましょう。
足の通し方は内側から外側に通す方法(In-Out)と、外側から内側に通す方法(Out-In)の2通りがあります。
![]() |
| 図1 |
|---|
さらに右手と左手があることを考えるとアンダーザレッグは4通りの方法があることが分かります。つまり
です。最終的にはこのすべてを安定して行なえるようにする必要があります。
まずは1個のボールを持ち、カスケードの練習で行なったようにボールを左右の手で交互に投げてみましょう。このときボールをキャッチしてから投げるまでのすくい上げるような動きをとりわけ強調しながら行ないます。体の前に大きな8の字をイメージしてください。
次にいよいよ足の下にボールをくぐらせるのですが、ここでのコツはボールを足の下を通して投げようとするのではなく、足をボールの8の字の軌道の中に差し込むというイメージを持つ事です。ボールの8の字の軌道をよく観察し、右手がボールを取った瞬間にその右手が通る軌道の上に右足を差し出します。右手は無理矢理右足をよけようとするのではなく、先ほどまでと全く同じ要領でボールを投げます。もしボールが右足にあたることなく左側に飛んだら成功です。もしボールが足の下側にあたってしまうようなら足の差し出すタイミングや場所を変えてみましょう。このとき大切なのは決して右手で無理矢理ボールの軌道を調整しようとしてはいけないということです。右手のボールは足があろうとなかろうと同じ軌道をキープしなければなりません。
足を上げたときは当然片足で立っている事になるわけですが、体重をきちんとその片足の上に乗せ、ふらついたりしないようにしましょう。最初から片足で立った状態で練習するのもよいトレーニングとなるでしょう。
もしうまくボールが足の下をくぐるようになったら(もしくは足がボールの上をくぐるといった方が正確かもしれませんが)、それを何度も繰り返して体に動きを覚えこませましょう。1つが完全に安定したら上に述べた4つの投げ方をすべて試してみましょう。気の赴くまま1個のボールを自由自在にあらゆる方向から足の下をくぐらせるのです。そうすることで次第に体がアンダーザレッグの動きを身に付けていくはずです。ただその時もできる限り目の前の8の字の軌道が崩れないように意識してください。
それではいよいよ3つのボールからアンダーザレッグを行なってみましょう。イメージは先ほどの1つのボールでやったことと同じです。普段より少し大きめにカスケードを行なってみましょう。特に両手のボールをすくい上げる動作を強調します。
右手から投げるボールに意識を集中させます。右手のボールを1,2,3と数え、3と同時に右手でアンダーザレッグを投げてみます。このときも大切な事は右手が無理矢理右足の下に移動しようとするのではなく、足を右手のすくい上げる軌道の上に差し出すイメージを持つ事です。最初のうちは次に取るべきボールの事は考えないでカスケードからこの1投をする事だけに意識を集中してみましょう。とりあえずこのボールが無事に左側に飛べば、ひとまずの成功です。
![]() |
| 図2 |
|---|
さてここでボディースローに共通の問題が生じます。アンダーザレッグは成功したもののどうしてもカスケードに戻す事ができないというものです。その理由はすでに説明したように、次に取るべきボールに意識が向けられないからです。
右手でアンダーザレッグを投げる時、自分の目線は左手から飛んできているボールに向けられなければなりません。これは重要なポイントです。アンダーザレッグを投げた右手はすぐにこのボールを取りにいきます。この瞬間、初めて自分の意識をアンダーザレッグで投げたボールに移行します。もしこのとき幸運にもアンダーザレッグで投げたボールが適切な位置に飛んでいるなら、おそらくあなたは生まれて初めてアンダーザレッグというトリックの成功の瞬間を味わう事になるでそう。
もしこの目線の移行が難しいと感じる人は2つのボールで練習してみるのもいいでしょう。両手に1つずつボールを持ち、左手のボールから投げ始めます。左手のボールを投げたら、そのボールに目線を置いたまま、右手でアンダーザレッグを行ないます。右手が飛んでくるボールをキャッチするために移動したら、すぐに右手で投げたボールに目線を移します。そして右手、左手の順番でボールをキャッチするのです。
右手がアンダーザレッグを投げてから、次のボールを取りに行くのが間に合わないという問題をかけている人もいるでしょう。その理由は取るべきボールに意識を移行するのが遅いか、もしくは右手を無理矢理に足の下をくぐらせているかのどちらかなのです。これらを改善すればこの問題は解決されるはずです。よく言われる解決策としてアンダーザレッグを投げる1つ前のスローを少し高めに投げる方法があります。そうすればボールを取りに行くまでの余裕ができるはずです。ただこれは1つの対症療法に過ぎず、本質的な問題の解決にはなっていないことは頭にとめておきましょう。(但しこれが悪い方法だというつもりはありません。実際に僕も最初はこの方法からスタートして、しだいに適切なアンダーザレッグを習得した人の1人です。)
1回できた事は何度も繰り返して、技術を定着させていきましょう。
練習の初期はアンダーザレッグは大変体に負担をかけるもので、すぐにヘトヘトになってしまうでしょう。その時は無理をせずに休憩をして下さい。不思議な事にトリックが安定すればするほど、それに反比例して使う体力は小さくなっていきます。これは体が自動的に最も力を使わない方法を見つけ出してくれるからでしょう。
さてカスケードからアンダーザレッグを投げる事を1つマスターしたら、上に挙げた4つのスタイルをすべて練習する事を忘れないで下さい。大変そうに思えるかもしれませんが、すでに必要なリズムを体得しているので、それほど大変なことではないはずです。このことはアンダーザレッグをパターンに発展させていく上で非常に大切な事です。
されそれでは例によってこのトリックを3つの公式に代入してみましょう。この公式と4つのスタイルを組み合わせると大変ユニークなパターンが数多く誕生します。
これを例えば右手は右足の下、左手は左足の下(つまりどちらもOut-Inのスタイル)で行なってみましょう。まるでゆっくりと足踏みをしているように両足が交互に上がります。そのまま前方に歩いていけばユニークなパターンになります。逆の発想でもしどちらもIn-Outのスタイルにしたらどうなるでしょう。またどちらの手も同じ足の下をくぐらせたらどうなるでしょう。是非挑戦してみてください。
例えば右手で連続でアンダーザレッグを行ないます。このとき右足を上げたままで固定させ、その下を連続的にボールがくぐるようにするとおもしろいでしょう。もしくは足を交互に入れ替ええるのも素晴らしいアイデアです。この場合は前回よりずっと早く足踏みをしているようになるでしょう。
![]() |
| 図3 |
|---|
これもやり方としては2通り考えられます。1つは一方の足を上げたまま固定し、その左右からボールを交互に投げるというパターンです。少し難しいですができないことはありません。
もう1つのやり方は左右の足を交互に通す方法です。これは非常に難しいジャグリングパターンです。高度な運動神経と体力とリズム感が要求されます。見た目は左右の足が激しく上下運動をし(まるで体育でやった腿上げのごとくです。)、その足の下からボールが交互に湧き出しているような印象を与えます。
もちろんここに書いたのはほんの一例に過ぎません。ひとつのトリックがどんどん形を変え、発展していくジャグリングの醍醐味を感じられたでしょうか。是非自分の独自の組合せを考案してみてください。

アンダーザレッグの更なるバリエーション、アイデアを見ていきましょう。
今まではボールを足の下から投げるだけでしたが、今度はさらに足の下でボールをキャッチして見ましょう。右手のボールを右足の下から投げたら、この手をそのまま足の下に置いておき、飛んでくるボールを右足の下に置いた手でキャッチします。このあとカスケードに戻ります。これは今までとは違い右手を右足の下に深く差し入れなければうまくいきません。
![]() |
| 図4 |
|---|
ここでちょっとした秘密を教えましょう。足の下で右手がボールをキャッチしたら、右手はそのボールを足の外側からオーバーザトップの要領で左に投げるのです。(つまりここだけアウトサイドスローを使うということです。)このちょっとしたトリックがボールの流れを大変美しいものにしてくれます。
同様のことを左足でも行なう事ができます。どちらもできたらこれを右足、左足交互に繰り返して見ましょう。これは僕のお気に入りのパターンでもあります。
もし右足を上げたまま固定し、右手で連続でこのトリックをすると右手が右足の下に入ったままカスケードをしているようなパターンができます。さらに発展させて、右手も左手もこのトリックを連続で行なうと、カエル座りで両手が足の下に入り、カスケードをしているというユニークなパターンができます。
![]() |
| 図5 |
|---|
足を地面から浮かさないでアンダーザレッグをするというのも難しいですが可能です。すこし体をかがめ、膝の後ろから前方へ、手首を足に絡めるように投げるのです。これはクラブジャグリングではトレブラ(Trebra)と呼ばれるトリックです。逆に前から後ろにボールを通すこともできます。これはアルバート(Albert)と呼ばれるトリックです。
今まではカスケードの投げ方でアンダーザレッグを行なうものばかりを見てきましたが、もちろんシャワーのようなトリックで使われる直線的にパスにアンダーザレッグを応用することも可能です。つまり足の下ですばやくボールを受け渡すということです。実はこれは意外と応用性の広いものなのですが、ここでは紹介にとどめておきます。個々のトリックやパターンの解説の時に機会があれば説明していきましょう。
| §3-3 | ビハインドザバック(Behind the Back) |
|---|
ビハインドザバックは背中の後ろからボールを投げ、前方でキャッチするというトリックです。背中の後ろというのは人間には直接見ることができない部分であり、不幸な事に人間は背中の後ろで何かをするということに全く慣れていません。このトリックが比較的難しい部類に入る所以です。しかし見た目のインパクトはこれをマスターするのに費やす労力を補って余りあるものです。
ビハインドザバックというのは文字通り背中の後ろという意味ですが、この投げ方はさらに2種類に分かれます。
![]() |
| 図6 |
|---|
1つはボールが体の中心を横切って、投げた手と反対側の肩の上を通って前方にくるようにする投げ方です。このような投げ方をバッククロス(Back Cross)と呼ぶことにします。このボールは腕全体を使って投げられます。
もう1つは投げたボールが、が投げた手と同じ側の肩の上を通って前方に来るように投げる投げ方です。このような投げ方をショルダースロー(Shoulder Throw)と呼ぶことにします。このボールは主に手首のスナップを使って投げられます。
(補足)バッククロス、ビハインドザバックという用語は定義が曖昧なもので、その意味するところは正確には定められていません。この教本では上に書いたようにビハインドザバックが体の後ろを通して投げるトリックの総称であると考えています。さらにややこしい事にバッククロスという言葉は連続的にバッククロスというトリックを行なうパターンを表すことがあります(むしろこっちの方が一般的)ので注意してください。
以下ではこの2つの投げ方について別々に解説をしていきましょう。
おそらく今まであなたは背中の後ろからものを投げようと思ったことはなかったでしょう。ですからまずはこの投げ方をしっかりと体に覚えこませる練習をしなければなりません。
右手でバッククロスを投げる時、ボールは背中の中央、ちょうどおへその裏側辺りから投げられ、左肩の上を通って前方にやってきます。背中の後ろからボールを投げようとするとき、体を不自然な形にそらせて体の横からボールを前に出そうとしてしまう人が多いですが、これは間違った投げ方です。きれいなバッククロスは右腕の動きだけで投げられ、体の動きは一切伴いません。これは重要なポイントです。
右手にボールを持ち、右腕を脱力してだらんと垂らしてみてください。この状態で右肘より下の部分を背中の後ろに直角に折り曲げてみてください。このとき上腕はなるべく動かさないようにしてみてください。また手が背中に触れてはいけません。腕を曲げたら再び脱力して元の状態に戻します。これを何度か繰り返してみましょう。この動きがボールを投げる動作です。
![]() |
| 図7 |
|---|
それでは実際にボールを投げて見ましょう。とりあえず何度か挑戦してみましょうか。どうですか。ボールがちゃんと前に行きましたか。おそらくボールが(もしかしたら手が)背中や後頭部にぶつかってしまったのではないでしょうか。最初のうちはどうしてもボールを前に投げようという意識が強く働いてしまいますがちです。ボールは前ではなくむしろ真上に投げるくらいの意識をもってみるといいでしょう。頭を真上に向け、ボールを後頭部に当てるくらいの気持ちで投げる方がうまくいきます。もしボールが横や後ろに飛んでいく人はボールを手から離すタイミングが早すぎることが考えられます。自分の手が背中の後ろのどの地点を動いているのかを把握するのは、大変難しい事です。ですからタイミングを早くしてみたり、遅くしてみたりして微調整しながらうまくボールが真上に上がってくれるポイントを見つけましょう。
うまくボールが投げられたら、そのボールを左手でキャッチしてみましょう。この練習を何度も繰り返してください。しだいに体が適切でリラックスした動きを覚えてくれるはずです。
右手のスローが安定してきたら、次にボールをキャッチしてからバッククロスを投げるまでの滑らかな動きを練習しましょう。左手から通常のカスケードの投げ方でボールを投げ、そのボールを右手でキャッチしたらそのまま動きを止めることなく投げる動作に移ります。このとき手は滑らかで大きな弧を描いて背中の後ろに運ばれ、ボールを投げます。
この一連の動きを繰り返し行ないましょう。できればボールを投げる瞬間、目線は意図的にボールを投げる方向とは逆方向、つまり右側に向けるようにしましょう。その理由はStep2の練習をすれば分かります。
さていよいよ3個のボールからバッククロスを投げる練習です。まずは3ボールカスケードを心持ち高めに、ゆっくりとしたリズムで行なってみましょう。このとき目線は頂上にきたボールを確実に捕らえるように意識しましょう。
右手から投げるボールを1,2,3と心の中で数えます。3のスローをバッククロスの投げ方で投げてみます。ボールを投げる動作にためらいがあってはいけません。先ほど練習した滑らかな弧を描く動作でボールを背中の後ろに運んで投げます。
このとき大切な事はボールを投げている時、目線は次に取るべきボールをその頂点で捕らえているということです。つまり目線はボールを投げる方向とは反対を向いています。そうしなければこのボールを間違いなく落としてしまうことになるでしょう。
![]() |
| 図8 |
|---|
ボールを投げ終わったら、ここで初めて目線を背中の後ろから投げたボールに向けます。同時に右手で先ほどのボールをキャッチします。この段階でバッククロスで投げたボールが正しい場所に浮かんでいれば完璧です。ボールが落ちてくるのを待ち、左手で持っているボールを投げて、カスケードを再開します。
ここで解説した目線の移動はバッククロスにおいては特に重要な事柄です。もしこれがうまくいかないときはアンダーザレッグの練習でやったように2つのボールだけを使って、この部分を練習してみましょう。
最初はバッククロスを少し高めに投げて、カスケードに戻るまでの少しの間を作ってあげた方がやりやすいでしょう。しかし慣れてくるとバッククロスの高さをどんどん小さくして、左肩のすぐ上を越えてくるようにすることができます。そうするとカスケードのリズムを全く壊すことなくこのトリックを行なう事ができます。
右手ができたら、同じことを左手でもできるようにしましょう。右手だけでも大変だったのに左手でやるなんてもっと大変だと思うかもしれませんが、実際はそれとは逆です。おそらく左手のバッククロスを成功するまでには、右手でかかったほどの時間はかからないはずです。
そうしたら例によって3つの公式をこのトリックに適応してみましょう。これは左右のバッククロスを安定させる素晴らしい練習です。とくに3つ目の公式
全てのボールのトリックを適用してみる。
を使うと全てのボールを背中の後ろから投げるパターンができます。実はバッククロスという言葉はこのパターンを指すのが一般的です。
![]() |
| 図9 |
|---|
このパターンを習得するのは簡単な事ではありません。最初は右−左、左−右と2投連続で投げる練習をし、次第に続ける回数を増やしていきましょう。このパターンをするとき目線はつねにバッククロスを投げる手とは反対側のボールを見ているので、まるで横断歩道で車を確認している時のように首が左右に振られることになります。もしボールをもっと高く投げてこのパターンを行なえば、目線は常に上を見上げている事になります。
ショルダースローは投げたボールを同じ手でキャッチするいわゆるセルフスローです。右手でボールを投げるとすると、投げたボールは右肩の上を通過し、再び右手でキャッチされます。
ショルダースローは大部分が手首のスナップによって投げられます。ですから手首をいためないためにも十分に手首のストレッチをしておきましょう。
バッククロスと同様、手にボールを持ち、右腕を脱力してだらんと垂らしてみてください。この状態で右の手首を外側に返し、同時に右の肘を上に引っ張り上げます。これがショルダースローを投げる時の右腕の動きです。慣れないうちはこれでボールが上に飛ぶなんてことは信じられないかもしれません。何度も繰り返してコツを掴みましょう。
![]() |
| 図10 |
|---|
ショルダースローはセルフスローなのでカスケードから投げると、カスケードのリズムを一時的に壊します。ちょうどカスケードから2イン1ハンドを1回だけ投げたようなパターンになるのです。(§1-2-3を参照)
カスケードから右手のボールをショルダースローで投げます。バッククロスと同様、このとき右手に落ちてくるボールを目で捕らえるのを忘れないようにしましょう。右手がボールをキャッチしたら、ショルダースローのボールが右手に落ちてくるまでしばらく待ちます。ボールが落ちてきたら、右手のボールを投げてカスケードを再開するのです。
ショルダースローのボールをクロス気味に投げ、反対の手でキャッチする事も可能です。このときはバッククロスと同様、カスケードのリズムの中にこのトリックを挿入する事ができます。
(補足)ショルダースローは4の投げ方(つまり4ファウンテンの投げ方)に相当するものです。ですから4の投げ方を使うパターンには自由に挿入する事ができます。例えば1アップ2アップなどのパターンです。
もちろん右手でも左手でもこのトリックをできるようにしましょう。例によっていろいろなコンビネーションを試してみるといいでしょう。下に書いたのはアイデアのほんの一例です。
◇ショルダースローを同じボールで左右交互に繰り返してみましょう。ボールの色を変えておくと見た目にも分かりやすいでしょう。左右の肩を同じボールが交互に飛び越えます。
◇さらに発展させて同じボールをショルダースロー(右)、バッククロス、ショルダースロー(左)、バッククロスと繰り返してみましょう。つまり1つのボールはどんな時も常に背中の後ろで投げられる事になります。
◇クロスの投げ方で同じ手から連続的にショルダースローを行なうと、ちょうどハーフシャワーを背中の後ろを通して行なっているようなパターンができます。
![]() |
| 図11 |
|---|
◇右左連続でショルダースローを行なうと、バッククロスによく似たパターンができます。このパターンとバッククロスの違いは、バッククロスはボールの軌道が背中の後ろ、つまりボールが上昇する時にクロスする(これがバッククロスの名前の由来です)のに対して、ショルダースローの場合は軌道が体の前方、ボールが下降するときにクロスするという点です。
◇ショルダースローとバッククロスを連続で交互に繰り返すのは大変美しいパターンです。うまく行なうとまるで3つのボールが肩の周りをぐるぐると回転しているように見えます。(ちょうどウィンドミルというパターンをビハインドザバックの投げ方で行なっているのと同じです。)コツは2種類のビハインドザバックスローが同じ軌道を描くようにすることです。
![]() |
| 図12 |
|---|

これはビハインドザバックを逆戻して行なうというアイデアです。つまりボールを前方から投げ、後方でキャッチするのです。ボールを見えないところでキャッチする(ブラインドキャッチといいます)ため、大変難しいトリックです。
キャッチするのは体の真後ろ、ちょうどおへその裏側です。体の中心の線をイメージしましょう。ボールをこの線に沿って、体の前方から頭の真上に投げ上げます。このボールはおでこを目指して落ちてきますが、ここで頭を前に向けると、ちょうどこのボールは背中の後ろで待ち構えている手の中にすっぽりと入ってくるはずです。
![]() |
| 図13 |
|---|
始めのうちは背中の手を固定し、ボールがうまくそこに落ちてくるように体全体を動かします。しかし人間の能力というのは素晴らしいもので、上達するとボールが背中のどの部分を飛んでいて、手がどのような位置にあるかを正確に把握できるようになってきます。そうなればボールがどこに飛んできても、そのボールをキャッチする事ができるようになります。
このトリックは3ボールカスケードの中から投げる事ができます。もちろんこれを発展させて、リバースビハインドザバックのハーフシャワーを行なう事もできますし、さらにはリバースバッククロスを行なう事もできます。(これは文字通りバッククロスの完全なリバースとなります。)大変難しいですが、印象的なパターンです。ボールはすべて体の前方から投げられ、背中の後ろでキャッチされます。
これは背中の後ろでキャッチとスローを同時に行なうというアイデアです。
3ボールカスケードで左手のボールを左肩を越えるように後ろに投げます。次に右手はバッククロスを投げ、次に左手から飛んできたボールを背中の後ろでキャッチします。何事もなかったかのようにカスケードに戻ります。
次は1つのボールを背中の後ろで投げ、背中の後ろでキャッチするという技です。 カスケードから右手のボールを背中の後ろで投げます。しかしこのボールは前方に向かって投げるのではなく、文字通り背中の後ろに垂直に投げるのです。カスケードを続け、反対の手で落ちてくる背中のボールをキャッチします。何事もなかったかのようにカスケードを続けます。
これは究極のビハインドザバックのアイデアです。
全てのボールを背中の後ろで投げ、背中の後ろでキャッチします。つまり背中の後ろでカスケードを行なうという事です。このトリックのいいところは全てが背中の後ろで行なわれるのでズルをしていても誰にも気付かれないところです。
![]() |
| 図13 |
|---|
シャワーのようにボールを手渡す投げ方を背中の後ろで行なう事もできます。これについては個々のトリックやパターンの解説の時に機会があれば説明していきましょう。
| §3-4 | アンダーザハンド(Under the Hand) |
|---|
アンダーザハンドはボールを手の下を通して投げるトリックです。このトリック自体は正直に言えばすでに紹介したアンダーザレッグやビハインドザバックに比べればはるかに地味で見栄えのしない技です。こんな事を書くと、じゃあ練習するのやめた!って言う声が聞こえてきそうですね。が・・・ちょっと待ってください。もう少し辛抱して読んでもらえればあなたはきっとこのトリックを練習したくてたまらなくなるはずです。
確かにこのトリック自体は地味でパッとしないものです。しかしこのトリックの本当の価値はそれをパターンに応用した時に発揮されます。何を隠そうこのトリックは数々の3ボールパターンの基礎となるものなのです。
ミルズメスというパターンをご存知ですか?ボストンメスは?チョップは?これらのパターンは3ボールジャグリングを志す誰もがあこがれる珠玉の3ボールパターンです。これらのパターンはすべて手の交差を含む複雑なパターンです。しかしこれらの複雑なパターンも、突き詰めていけばアンダーザハンドの動きがベースになっているといったらどうしますか。ほら、とたんにこのトリックを練習したくなったでしょう?アンダーザハンドはおそらく最も基本的な"手をクロスするトリック"の1つです。
このトリックはまさしくダイヤモンドの原石なのです。
ボールの投げ方は極めて簡単です(少なくとも今までのボディースローに比べれば)。右手にボールを持ち、両手を通常のカスケードをするときの幅に広げます。右手はすくい上げるような動きで左手の下に移動します。(つまり手がクロスします。)左手はこの動作を補助するため若干中央に移動します。そして左手の下から持っているボールを垂直上向きに投げ上げます。このボールは左手でキャッチされます。同様のことを左手でも行ないましょう。
ボールの軌道に注目しましょう。投げる地点までは手によって下向きの弧を描いて運ばれ、そこからは垂直に上に投げられます。通常のカスケードの上向きの放物線を変形させています。
3ボールカスケードから1投だけこの投げ方を挿入してみます。心の中でカウントし、先ほどのアンダーザハンドの投げ方をしてみましょう。このとき左手は(ボールを持ったまま)右手のボールが投げやすくなるように軽くよけるような動作をします。このとき自分の目線は落ちてくるボールの方を向いています。(これはすべてのボディースローに共通する注意事項です。)ボールを投げたらすかさず手の交差をほどき、右手は落ちてくるボールを取りに行きます。続いて左手は通常のカスケードの投げ方をして、垂直に落ちてくるボールをキャッチします。
どうですか、軌道が捻じ曲げられるような不思議な感覚がしませんか?慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。垂直に真上に投げるボールがありますが、カスケードのロジックは壊れていません。要するにカスケードの軌道を1投だけ変えたに過ぎないのです。
このトリックを周期的に繰り返す事でパターンを作り出す練習をしましょう。
同じボールを左右交互にアンダーザハンドで投げてみましょう。同じボールがパターンの下側でUの字を描くように動くユニークなパターンが出来上がります。実はこのパターンはミルズメスの感覚に非常に近いものです。
同じ手で連続的にアンダーザハンドを行ってみましょう。このパターンは何とウィンドミルというパターンの基礎となるものです。実際あとほんの少しの変形を加えれば本物のウィンドミルになります。その変形とはアンダーザハンドをしている手と反対の手で連続的にオーバーザトップを行なうのです。
さて最後は左右連続にすべてのボールをアンダーザハンドで投げてみましょう。これはカスケードとは全く違った奇妙な感覚になります。なぜなら放物線を描くボールは1つもなく、すべてのボールはパターンの下側を手によって運ばれ、垂直上方に投げられる事になるからです。見た目もカスケードとは全く別のパターンになってしまいます。もしこのパターンを安定してジャグリングできるようになったとしたら、あなたは知らず知らずのうちに全く新しいパターンを習得した事になります。実はこのパターンはかの有名な"チョップ"なのです。
![]() |
| 図15 |
|---|
正確には"チョップ"に非常に近いパターンというべきかも知れません。アンダーザハンドをする時、反対の手が無意識のうちにしている"ボールをよける動作"に注目してみてください。そしてこの動作をどんどん誇張していくのです。そう、まるで自分の中央にある物体にチョップを食らわしているかのようにです。(もしくは道頓堀の食い倒れ人形が太鼓を叩いているかのようにです。)こうしてできるパターンが本物のチョップです。
もしこのアプローチでウィンドミルやチョップがマスターできたとしたらあなたはこのトリックの偉大さに心から感謝する事になるでしょう。もしいまいちやり方がつかめなかったとしても心配する事はありません。あなたはこのトリックを通じて確実にこれらのパターンの習得に近づいているのです。これらのパターンはそれぞれ独自の項目を設けて解説していますから、そこを読んでさらに練習してみてください。
このトリックでは右手が左手の下にクロスさせてボールを投げていましたが、逆に右手が左手の上にクロスするバリエーションを考える事もできるはずです。これだけでも見た目は全く変わるはずです。
このトリックを一方の手で連続して行なうと大変面白いパターンができます。手がパターンを一刀両断するように繰り返し横切ります。
もしこのパターンを手のクロスをほどかずに行なうと、手をクロスしたままリバースカスケードをしているようなパターンができます。これはクロスドア−ムリバース(Crossed Arm Reverse)呼ばれています。
| §3-5 | その他のボディースロー |
|---|
ボストンメスというパターンの元になる"リーチアンダー(Reach Under)"、"リーチオーバー(Reach Over)"という2つのトリックを紹介しましょう。これはアンダーザハンド、オーバーザハンドの逆戻し(リバース)に相当するものです。
この2つのトリックは本質的には同じものです。
3ボールカスケードをします。左手からのボールを垂直真上に投げ上げます。このときのボールの高さは3ボールカスケードの高さと同じです。(2イン1ハンドを始めるわけではありません。)
次に右手のボールを通常のカスケードの投げ方で投げます。この手は左手の下をクロスして垂直に投げたボールを取りに行きます。(リーチアンダーの名前の由来です。)
ボールをキャッチした後は手のクロスを解き、通常のカスケードを続けます。
このトリックがアンダーザハンドのリバースであることがお分かりいただけたでしょうか。カスケードの軌道を変形したに過ぎません。
垂直に投げたボールを左手の上をクロスして取りにいくとリーチオーバーになります。
これはダンカンドーナツ(Duncan Donuts)というパターンのもとになるトリックです。ボールを肩の上辺りから投げ、首の後ろを通して、反対側の肩の上辺りでキャッチするというものです。このトリックの難しいところは取る瞬間もキャッチする瞬間も目で見ることができないというところです。
![]() |
| 図17 |
|---|
投げる時は投げる手の方向に体をひねり、取るときは反対側に体をひねるとやりやすくなります。
このトリックを同じ手から連続的に行なうと、自然に体が一方方向に回転していきます。これがダンカンドーナツというパターン(もしくはそれによく似たパターン)です。
