
この節では非常に応用の広いオーバーザトップ(Over the Top)というトリックを解説します。このトリックの発想はカスケードのボールの投げ方をほんの少し変えてみる事です。そのほんの少しの変形がいかに全体の見た目を変えるものか、そしてこのトリックを組み合わせる事でいかにユニークなパターンが生み出されるかという事をこの節を通してあなたは実感することになるでしょう。
| Index | ||||||
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| §2-1 | アウトサイドスロートインサイドスロー |
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カスケードの投げ方を観察するとボールを落ちてくるボールの軌道の内側を通して投げている事に気づきます。これをインサイドスロー(Inside Throw)ということにしましょう。ならば当然落ちてくるボールの外側を投げる事もできないかという発想が生まれます。これをアウトサイドスロー(Outside Throw)といいます。アウトサイドスローのときはボールを内側でキャッチし、外側から投げる事になります。
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| 図1 |
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(補足)基本パターンの章で、基本パターンにおいてはボールは内側から投げ外側で受け取り、それが人間がもっとも自然に感じるボールの投げ方だということを説明しました。その観点からすればオーバーザトップの投げ方は少し不自然に感じる投げ方だということになります。(だからこそトリックと呼ばれているのです。)
カスケードの中の1投だけにこの投げ方を適用してみましょう。それこそがこれからみていくオーバーザトップ(Over the Top)といトリックです。
| §2-2 | オーバーザトップ(Over the Top) |
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カスケードの中から1個のボールをアウトサイドスローで投げます。このボールはパターンの上方を越えるような軌道を描き、反対のサイドの外側でキャッチします。
オーバーザトップは通常のカスケードの投げ方を少し変形させるトリックです。通常のカスケードにおいては投げるボールは落ちてくるボールの下側を通すように投げます。しかしオーバーザトップでは投げるボールが落ちてくるボールの上側を通るように投げるのです。
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| 図2 |
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結果的に投げたボールはパターンの上方を越えるように飛んでいきます。(オーバーザトップと言う名前の由来です。)大切な事はこのトリックはパターンのリズムを一切壊さないということです。
もし近くに上級者がいれば実際にやってもらいましょう。上級者の投げ方を見ていると実に簡単なことをやっているような気がします。このトリックが自然にカスケードのリズムにフィットしているからです。しかし自分が実際に同じことを試みようとすると突然混乱が始まります。あれほど安定していたはずのカスケードが見るも無残に壊れてしまうのです。何か新しいトリックを練習しようとする過程では誰もがこの気分を味わうものです。
1個のボールでこの投げ方を練習してみましょう。ボールを体の外側から投げ、反対のサイドで受け取ります。ボールは通常より少し高めの大きな弧を描きます。これがオーバーザトップの投げ方です。
カスケードの解説の時に、カスケードをしているとき手は小さく円運動をしているということを説明しました。外側で受け取ったボールを体の内側に運ぶために手がボールをすくい上げるように動く動作のことです。しかしオーバーザトップを投げるときは手は逆向きの円運動をすることになります。
ボールを投げるのに余分な力が入ってはいけません。肩の力を抜きリラックスしてボールを投げることが大切です。ボールを投げるとき手を見てはいけません。目線は常に空中にあり、ボールの軌道の頂点を捕らえています。
次に3ボールカスケードからこの投げ方を行なうのです。簡単そうですか?実際やってみてください。もし何の苦もなくできてしまったならもう何も言うことはありません。どうぞ次のステップに進んでください。しかしたいていの人にとってはもう少しアドバイスが必要でしょうから、いくつかのヒントを書いておくことにしましょう。
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| 図3 |
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まず通常のカスケードを繰り返して、そのリズムを体で感じましょう。このとき軌道の頂点に来たボールを確実に目で捕らえるようにします。最初のうちは少し高めにボールを投げてゆっくりカスケードをしたほうがいいでしょう。 今、右手からオーバーザトップを投げることにします。右手から投げるボールに意識を集中し、右手がボールを投げるごとに心の中で1,2,3とカウントします。3と数えると同時にStep1で練習したアウトサイドスローでボールを投げてみましょう。
ちゃんと投げたボールをとることができましたか?おそらく最初に試みたほとんどの人はこの段階でボールが地面に落ちているはずです。そこで多くの人がこう考えます。きっとボールを落としたのは私の投げ方に問題があったからだ…と。
そうではありません。ボールを落としてしまう原因はもっと簡単なことです。ボールを取ることを忘れてしまっていたからです。しかもこのボールはオーバーザトップオーバーザトップで投げたボールではなく、オーバーザトップを投げた手で次に受け取るべきボールなのです。これは新しいトリックを練習するときに誰もが陥る罠です。何か特別な投げ方をすると、どうしても意識が投げたボールの方にいってしまいます。そしてそのボールを受け取ることに一足飛びに意識が移行してしまうのです。その結果その間にあるボールのキャッチのことがすっかり忘れ去られてしまうことになります。
ボールをオーバートップで投げたら一旦そのボールのことを忘れて、次に右手でつかむべきボールを見ましょう。これがトリックを成功させる一つ目の鍵です。最初に全てのボールをその軌道の頂点で目で捕らえる練習をしたのはそのためです。こんなことはカスケードができるようになった人なら誰でも無意識のうちに行なっている動作なのですが、今回はそれを敢えて意識的に行うようにするのです。
右手でつかむべきボールを目で捕らえたら、ここで初めてオーバーザトップで投げたボールに目を移します。この段階でボールが正しい軌道を描けていればトリックの8割方は成功です。次は左手から通常どおりボールを投げ、このボールをつかみ、カスケードに戻れば完了です。
少しリズムが窮屈だと感じたら、最初のうちはオーバーザトップのボールを少し高めに投げても構いません。そうすることで左手がしばらく落ちてくるボールを待っている間が生じます。1テンポ間を置いて、落ち着いて左手からボールを投げればいいのです。(1つ前の節でやったボールを高く投げる練習と同じことです。)安定すればこのボールの高さを徐々に低くしていき、通常のカスケードのリズムの中で行なえるようにすればいいでしょう。
最初はとてもスマートには決まりません。しかしそもそも最初からスマートに決める必要なんてどこにもありません。どんなに不恰好でも、あちこち動き回りながらもとにかくカスケードに戻ってみましょう。それができれば、このトリックはひとまず成功です。もしあなたが1回でも成功の実感を味わうことができたならこの言葉を胸に刻んでください。
その成功の感触を忘れないうちに何回も繰り返してみましょう。そしてさらなる成功の実感を味わってみてください。最初はぎこちなく感じていたものが何度も繰り返すうちに次第に自然にこなせるようになっていくはずです。それはこのトリックを頭で考えるのではなく、体がリズムとして感じれるようになった証拠でもあります。
慣れていくとカスケードのリズムをまったく崩すことなくこのトリックを挿入することができます。そのためにはオーバーザトップで投げるボールの高さを少しずつ低くしていくことです。(もちろんカスケードの高さよりは高く投げなければなりません。)
ある程度安定してきたら逆の手に切り替えて同じ練習をしましょう。多くのトリックがそうであるように、このトリックも左右非対称なものです。最初はたいていの人は自分の利き腕を主体にして練習するものですが、いったん利き腕で技の感覚がつかめるようになったらできるだけ早い段階で逆の腕でも同じ練習をやってみましょう。一般的に偏ったサイドでばかり練習している期間が長いほど、逆の手で練習することに抵抗を感じてしまうものです。
左手でも、右手でも自由なタイミングでこのトリックがカスケードに挿入できるようになることです。
いよいよ次はこのトリックから新しいパターンを作っていく方法を説明しましょう。
| §2-3 | オーバーザトップの発展 |
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さて1つのトリックを習得したら・・・そう、それを発展させて新しいパターンを作っていく事ができるのでした。そのために
という練習をします。これはトリックからパターンを作るための王道です。
最初から短い周期で繰り返すのは大変です。安定しないうちはカスケードを立て直す余裕が必要ですから長めの周期を取るのがいいでしょう。たとえば7回おきにトリックを行うと決めたとすると次のように数えるとよいでしょう。
○−1−2−3−4−5−6−○−1−2−3−4−5−6−○−…
丸印がトリックを投げるタイミングになります。練習のバランスを良くするために奇数回の周期を決めておくことをお勧めします。その理由はもちろん、奇数回ならトリックを行う手が右左交互に繰り返されるからです。慣れてくるとこの周期はどんどん短くしていくことが可能です。この周期を短くしていくことが即ち新しいパターンを作り出す発想につながっているのです。
されそれでは§0に書いたパターンをトリックに発展させる公式を適応していきます。公式は
でしたね。今からオーバーザトップにこの公式を適応してみましょう。どれもがカスケードとは全く雰囲気の違う独特のパターンになります。これはあなたに間違いなく新鮮な驚きをもたらすでしょう。
同じボールに常にトリックを適用してみる。
このパターンはテニス(Tennis)と呼ばれるパターンです。
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| 図4 |
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2つのボールはカスケードの軌道を動き、その上方を1つのボールが左右に動いています。この名称はパターンの上部を往復しているボールをテニスボールに例えているわけです。(分かりますか?)
このパターンは左右対称なパターンなので、オーバーザトップを安定させる良いトレーニングでもあります。
◇補足 テニスというパターンはこの他にもいくつかあります。それは第3章で解説しましょう。
常に同じ手にトリックを適用してみる。
これも元のパターンがカスケードとは思えないほど、見た目が変わってしまいます。このユニークなパターンをハーフシャワー(Half Shower)と呼びます。
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| 図5 |
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ボールは常に同じ手からオーバーザトップで投げられるためボールの軌道はクロスしません。ひしゃげた円軌道をボールが一方方向に循環しています。
スムーズにできるようになるためには少し練習が必要でしょう。カスケードを基本にしながら少しずつ連続で続ける回数を増やしていく練習をするのがいいと思います。またこのパターンは左右非対称なものですから、右手、左手どちらでも練習しましょう。
このパターンは少しリズムが取りにくいものです。これは右手から投げるボールと左手から投げるボールの滞空時間が微妙に違うためです。最初はオーバーザトップで投げるボールを少し高めに投げて、左手がボールを持ったまま待っている時間を長くするとやりやすくなるでしょう。
全てのボールに適用して投げて見る。
これが有名なリバースカスケード(Reverse Cascade)です。
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| 図6 |
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全てのボールをオーバートップのスタイルで投げます。カスケードの逆戻しに相当します。
全てのボールをオーバートップで投げます。その結果、通常のカスケードとは逆にボールを内側でキャッチし外側から投げることになります。
ここまで来るともうカスケードをベースにしたパターンと言うより、まったく新しい1つのパターンだと思えてきます。このパターンの特筆すべき面白い特徴はその名のとおりカスケードの逆戻し(Reverse)に相当していることです。つまりビデオカメラでカスケードを録画し、それを逆戻しで見るとこのパターンになってしまうのです。
慣れてしまえばカスケードと同じくらい安定してできる自然なパターンです。
今までの練習と同様にカスケードを基本として2回連続でオーバーザトップ、3回連続でオーバーザトップというように数を次第に増やしていくのは効果的な練習方法です。ボールが乱れてきたらカスケードに戻ります。
もう1つのアプローチとしてこれは全く新しいパターンだと思ってカスケードの時の要領で1個のボールからパターンを組み立てていってもいいでしょう。カスケードの練習では外側から内側に投げていたボールを、内側から外側に投げることに置き換えて考えれば同じようにパターンを組み立てていく事ができます。
余談ですが多くのジャグリングパターンの中にはこのようにリバースの関係にあるものが少なくありません。逆にいえばあるパターンがあったときその逆戻しを考えることが新しいパターンを作る発想につながるということですよね。
というのはパターンから新しいパターンを作る1つの公式です。
オーバーザトップという単純なトリックから個性的な3つのパターンが生み出されることを見てきました。この3つのパターンを習得しただけで3ボールのジャグリングの幅がすごく広がったような気がします。どうぞ練習を楽しんでください。

カスケードとこの3つのパターンは自由に行き来する事ができます。パターンを組み合わせて新しいパターンを作っていく事もできます。例えば
などすると見た目には大変複雑なジャグリングをしているように見えます。是非いろいろなアイディアを試してみて下さい。
