back
ボールジャグリング教本 第2章 ボールジャグリングの基本トリック

2007.5 Juggling教本を大幅にリニューアルいたしました。
こちらは旧版になりますので、最新版は以下のページを参照してください。
Juggling 教本

|<<BACK|NEXT>>|

§1 カスケードの簡単な変形

トリックというと何か難しい事をすることだと思っている人が多いようですが、そうとは限りません。カスケードのリズムを変える、高さを変える、幅を変えるといった単純な変形をするだけで、驚くほど見た目に変化をつけることができます。このように同じパターンをやり方をさまざまに変えて行なってみるのはジャグリングを安定させるよいトレーニングでもあります。この節ではカスケードからできる簡単な変形をいくつか紹介します。
Index
§1-0高さと幅の変形
§1-1リズムの変形
§1-2高く投げてみる
§1-3まとめ


§1-0高さと幅の変形

■ボールを投げる高さを変えてみる。

まずは自分の最もやりやすい高さでカスケードをしてみましょう。次にこのカスケードの高さを徐々に高くしてみましょう。必然的にボールを持っている時間が長くなり、ボールを投げるリズムはゆっくりになります。通常のカスケードの2倍くらいの高さでしばらくカスケードを続けてみましょう。そのあとゆっくりと高さを下げて、通常のカスケードの高さに戻します。このときジャグリングしている手の幅を変えないようにしましょう。

同様に手の幅はそのままで高さを小さくしていきましょう。今度はボールを投げるリズムがどんどん早くなっていきます。できる限り小さくしたら、再びゆっくりと通常のカスケードの高さに戻します。

図1

このように高さを変えてみると、それに付随してジャグリングのリズムも変わっていきます。ジャグリングの高さが高くなればリズムはゆっくりとなり、逆に低くなればリズムは早くなります。

■幅を変えてみる

通常のカスケードは手を腰の辺りにおき、肩幅に開いています。それではここからこの両手の幅を少しずつ広げていきましょう。このときボールを投げる高さは同じに保つようにします。結果的にボールの軌道は横に長くなっていきます。

今度は逆に両手の幅を少しずつ狭めていきましょう。このときもボールを投げる高さは変わりません。ボールの軌道は相対的に縦に長くなっていきます。

図2

■高さと幅を同時に変えてみる。

上の練習では高さと幅はどちらか一方のみを変形させ、どちらか一方を固定させていました。では今度はこの高さと幅を同時に変化させて見ましょう。これにはさまざまなコンビネーションが考えられます。

もし高さと幅を同時に大きくしていけば、カスケード全体がおなじ形のまま拡大されるような印象を与えます。同時に小さくしていけばカスケードが同じ形のまま縮小されます。

すこし難しいですが高さをできるだけ低く、幅をできるだけ広くしてみるとどうなるでしょう。ボールの軌道はどんどん水平に近くなり、まるで両手がキャッチボールをしているようなパターンができるでしょう。逆に高さをできるだけ高く、幅を狭くしていくとボールの軌道はどんどん垂直に近づいていきます。

こんな単純な変形だけでもずいぶんカスケードの形は変わってしまいます。いろいろな組合せを楽しんでみてください。

トップに戻る

§1-1リズムの変形

ボールの高さをそのままでボールを投げるリズムを早くしたり遅くしたりする方法を学びましょう。

ボールを通常のカスケードの2倍くらいの高さでジャグリングします。このとき手はボールが落ちてくるぎりぎりまで待って、キャッチをする最後の瞬間にボールを投げます。そうすると手がボールを持っている時間は長くなりますからゆっくりとしたリズムになります。これをスローカスケード(Slow Cascade)と呼びます。

次に同じ高さで投げるリズムを早くしていきましょう。これは上とは逆にボールを持っている時間をできるだけ短くするのです。投げたボールが軌道の頂点にきたら、すぐに次のボールを投げます。このとき気を付けて欲しいのはボールを投げるリズムは早くなりますが、等間隔のリズムは壊れないという事です。その分、手がボールを持って待っている時間がなくなり、取ったボールをすぐに投げる事になります。このパターンは慣れるまでに少し時間がかかるかもしれませんが、慣れると大変自然に感じるものです。このパターンをホットポテト(Hot Potato)という愛称で呼ぶこともあります。まるで熱いジャガイモでジャグリングしているかのように見えるからです。(なぜかは分かりますよね?)

図3

(補足)スローカスケードとホットポテトのパターンの違い

手にボールを持っている時間のことを保持時間(Hold Time)、空中にボールがある時間のことを滞空時間(Air Time)と呼びます。ボールの高さは滞空時間で決まります、ボールを投げるリズムは保持時間+滞空時間で決まります。つまりボールの高さは同じでも保持時間を変化させる事でリズムを変化させる事ができるのです。

図4

トップに戻る

§1-2高く投げてみる

カスケードの中からボールを1投だけ高く投げ上げてみましょう。このことはカスケードの等間隔のリズムに少しの間をもたらします。ボールが落ちてくるまで両手はボールを持ったまま待機し、ボールが落ちてきたら再び通常のカスケードを再開します。

ハイスロー
図5
単純なリズムの変形(これをシンコペーションと呼ぶことがあります)ですが意外と難しく感じるものです。とくにこのトリックでしっかりつかんで欲しいのは

高く投げたあとしばらくボールが落ちるのを待っている

という感覚です。何の事はない、何もせずに待っているだけのことです。しかしこれが難しいのです。慣れてしまえばなんでもないことですが、連続的なリズムの中で一瞬間を取るという事は慣れないうちは予想以上に困難です。しかし多くのジャグリングトリックでこの“ボールを待っている”感覚をつかむ事は非常に重要になってくるのですよ。

タン・タン・タン・ターン・タン・タン…

と途中で間延びしたリズムが入ることに注意しましょう。

次によくしてしまう失敗は投げた次のボールをつられて高く投げてしまう事です。カスケードでは左手と右手が同じ動作をするよう散々叩き込まれましたから、この気持ちは大変よく分かります。しかし不幸な事にたいていのトリックでは左手と右手は別の動作をするものです。その感覚をつかむのがトリックを習得する難しさであり、同時に面白さでもあります。


さてこんな簡単なトリックでも発展させていくと面白いパターンができてきます。§0イントロダクションで述べた公式をこのトリックに適用してみましょう。1つのトリックを覚えたらそれを周期的に繰り返してみるのです。もちろん右手でも左手でも上のトリックが安定してできるようにしましょう。これは大前提です。

それでは"常に同じボールに上のトリックを適応してみる"ことにしましょう。これは右手と左手が交互に同じボールを常に高く投げるパターンになります。高く投げるボールの色を変えておくと分かりやすいでしょう。

さらに"常に同じ手にトリックを適用してみる"とどうなるでしょう。今度は右手(または左手)のボールを常に高く投げるパターンになります。言い換えれば右手と左手が違う高さでボールを投げるカスケードです。カスケードの軌道は一方がいびつに膨らんだ8の字型になります。もちろんリズムも等間隔ではありません。最初は胃袋が捻られるような奇妙な感触がするはずです。でもその不思議なリズムの変化をどうぞ楽しんでみてください。

図6

さて最後の公式は"全てのボールのトリックを適用してみる"というものでした。これは3回連続でボールを高く投げるというもので、3ボールフラッシュと呼ばれています。

■3ボールフラッシュ(Three Ball Flash)

連続して3回ボールを投げてそれをキャッチしてカスケードに戻ります

このトリックの面白いところは2拍の間、手が完全に空になることです。このように持っているボールを全て高く投げ上げて手を空にするトリックのことをフラッシュ(Flash)といいます。

フラッシュ
図7

◇補足 フラッシュ(Flush)という言葉は基本パターンの練習で行なったように"手に持ったボールを全て1回ずつ投げてキャッチし、パターンを止める事"という意味でも使われます。ややこしいですが混同しないようにしましょう。

これは見た目に大変鮮やかですが、かなり難しいトリックです。3つのボールを正確に同じ高さに投げる必要があるからです。そうしなければキャッチするときに2個以上のボールが同時に落ちてくる事になります。


まずは2個のボールを連続で高く投げる練習するといいでしょう。カスケードから2つのボールを右―左と連続で高く投げ上げ、それをキャッチしてカスケードを復元します。同様に左―右も連続して投げられるようにしましょう。それができるようになったら右―左―右、もしくは左―右―左と投げる練習をします。

3つのボールは理論的には同じ高さならどれだけ高く投げても構いません。

次にボールを投げ上げた後、手を叩いてみましょう。このことで手が空になったことを見ている人に印象付けることができます。これはクラップ(Clap)と呼ばれることもあります。うまくなれば2,3回手を叩く事ができます。

clap
図8

このトリックは5ボールカスケードの投げ方を習得するのに良い練習になります。(1章§4-3 参照)

トップに戻る

§1-3まとめ

この節ではカスケードの基本的な形は変えないで高さやリズムをほんの少し変えることによりさまざまなバリエーションができること、また単純なトリックを膨らませて3ボールフラッシュという有名なトリックにたどり着く様子も観察してきました。

どうでしょう。ジャグリングの広がり、奥の深さ、ジャグリングを作り出す本質的な発想が垣間見れた気がしませんか。ここに紹介した"リズムと高さの変形"は1つのジャグリングパターンをさまざまに発展させていくときに使える共通のアイデアです。是非カスケード以外のパターンにも適応してみてください。

トップに戻る
|<<BACK|NEXT>>|

ボールジャグリング教本 第2章 ボールジャグリングの基本トリック
back